でっきぶらし(News Paper)

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親と子、比べてみれば(?T)(動物の変身) コモンマーモセットの巻

 南米に棲む小さなサルの仲間で、比較的どこの動物園でも飼育されているのが、コモンマーモセットでしょう。コモンは平凡、それぐらいありふれているのです。
 ところが、生まれたばかりの赤ん坊を見てすんなりコモンマーモセットだと分かれば、相当の通です。飼育係も彼らを扱って、繁殖に導けて初めて知るのです。
 赤ん坊だから小さいのは当たり前です。でも、子の顔に親の特窒?うかがわせるものが何もないのです。特に、最も象駐Iである耳の周りを飾る毛は影も形もありません。
 逆に頭部の中央だけが黒いのは、幼少期だけの特有のものです。それが毛がのびてくるのに従って、頭部全体に広がってゆき、耳の周りを飾る毛が生えてくるのがほぼ同時に見られます。
 生後1〜2ヶ月を経て、ようやくコモンマーモセットの子だと誰が見てもすんなり分かるようになります。それでもまだ地味でくすんだ色彩で、耳を飾る毛だって親のように白くはなく灰色です。
 親よりひと回り小さく感じられるものの、ほぼ同じような体型、色模様になるのに7〜8ヶ月はかかるでしょうか。早いではないかと思われるかもしれませんが、一年経てばほぼ大人であることを唐ワえれば、案外ゆっくり変化すると思えなくもないぐらいです。
 一度ペースにのると凄い勢い、一年に二回どころか二年に五回ぐらいのペースで生みます。しかもたいていは二頭、時には三頭以上生むこともあります。(二頭以上育つのは稀である)
 残念ながら、母親はもう高齢、彼女にかつての夢を望むのは無理です。連れ合いも遠の昔に死んでいます。でも、比較的飼い易い育て易いサル、新たな個体がやってきた時、楽しい成長模様を再び描いてくれることでしょう。
(松下憲行)

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