106号(1995年07月)15ページ
日本平の好記録・珍記録 〜 ヒョウとクロヒョウ 〜
クロヒョウは、普通黄色いヒョウのメラニン色素が多い変異種です。これを黒変種と呼んでいますが、この黒変種は、トラやライオンでは殆ど見られませんが、ヒョウやジャガーでは時折見かけます。劣性遺伝子によるものと思われますが、真暗闇の中では黒い方が餌物を獲るのには有利に感じます。
さて、日本平では開園時から普通の黄色いヒョウを飼育してきました。このペアから何と黒い子が生まれたのです。今までペアとなった3組から、14回21頭+αの出産があったのですが、その内黒ヒョウは8頭、何と38%の高率でした。オスのゴローとメスのヨッコの間で6頭、同じくゴローとヨッコ?Uのペアで1頭。ヒョウ太とヨッコ?Uの間で1頭の計8頭です。この内ヒョウ太はゴローの子である為、これだけ高率で黒い子が出るのは、ゴローが高い確率で黒の遺伝子を持っていたようです。
クロヒョウのペアを含めたヒョウ全体では37頭+αの子が生まれたのですが、メス親が食べてしまったりと、子の生存率は低く、わずか16頭が育っただけです。しかもこの内7頭は人工哺育ですので、親による自然哺育はたったの9頭だけでした。
しかし、1989年を最後に、ヒョウは生まれていません。日本平のように亜種不明のヒョウをこれ以上増やす事が問題となり、避妊する事となったからです。もう日本平では残念ながら黒ヒョウは見られません。これも時代の流れなのでしょうか・・・。
(三宅隆)