106号(1995年07月)9ページ
子育て・裏方事情
コンドルの人工育雛が続いています。他の鳥類ならとっくに手を煩わせずに済む時期ですが、コンドルの成長は思いの他ゆっくりです。担当者、代番者はそれを知りつつも、時にはため息をもらします。
成長がゆっくりだと言うことは、それだけ思わぬアクシデントに見舞われる確率が高いと言うことです。又、それが悩みを作り、気分をゆううつにもさせるのです。
ふ化直後の足の爪の歪みはまだしも、暑さによる食欲不振、右の翼がたれて体のバランスを崩したのには、担当者、獣医を大いに慌てさせました。原因は、翼の成長に筋力の成長が伴わずにアンバランスが生じた為です。
ですが、それらは小さいとまで言わなくても、それほど大きな悩みでもありません。私達を究極的に悩ませるのは、彼女が自分が誰であるかの自覚を失ってしまうことです。人と付き合る?ようになっても、同類のコンドルと付き合えなくなってしまうことです。