108号(1995年11月)3ページ
チンパンジー(パンジー)豊橋ZOOへ
当園のチンパンジー舎は開園10周年を記念して建てられたものです。当時、東京都多摩動物公園よりオスのポコが6才9ヶ月、メスのパンジーが7才8ヶ月、デイジーが7才7ヶ月で来園しました。
来園して1年半後にパンジーに赤ちゃんが生まれ、「ピッチ」と名付けられました。パンジーにとって初めての子育てのせいか、生まれてしばらくすると床に子を置いてみたり、ピッチの身体のあちこちをにきびつぶしをするように両手の親指ではさみ、傷だらけにしたりしました。
そうこうして4ヵ月後、ピッチは肺炎になってしまい、残念ながら死亡してしまったのです。
一方、もう1頭のメスのデイジーは、それから2年後に出産したのですが、子の扱いが悪いため、とりあげ人工哺育となりました。その後デイジーは、4頭出産したのですが、1頭死産の他はすべて人工哺育といった結果でした。
パンジーは、ピッチが死亡後、なかなか交尾をせず、8年たってようやくメスを出産しました。3月3日生まれだったこと、そして「ピッチ」より長く生きてほしいという担当者の願いをこめて「ピーチ」と名付けられました。「ピッチ」の時に比べはるかに子育てはうまくなり順調に大きくなり、現在に至っています。
こうして当園でもチンパンジー村が少しずつできていくと思っていた矢先、一昨年の暮れ、ポコとデイジーがあいついで死亡してしまったのです。ほんとうにショックでした。
でもなんとかしなければなりません。そこで札幌市円山動物園よりオスの「神威」をお借りし、再出発をはかろうとしました。しかし、パンジーは21才、神威は5才、パンジーにとって神威はまだまだ子供。オリ越しの見合いを2年続けてみたのですが、気に入ってくれませんでした。
このままオリ越しの見合いを続けても無理だろうと判断し、年齢からみて神威とピーチをペアにし、パンジーをどこかにと他の動物園に声をかけてみたところ、豊橋市総合動植物園より引き受けてよいとの返事をもらいました。
そこで、いろいろ手続きを済ませ12月24日に豊橋にうつりました。とても頭のよい個体ですから、自分の順位を考え、なんとか仲間に入ってくれるのではと願っています。