でっきぶらし(News Paper)

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動物の仕草あれこれ?T(モンキー編)【サルのけちんぼ】

 二頭のサルがいます。どちらが優位かを知りたいと思えば、どうすればよいでしょう。至極簡単な方法は、その二頭の間に食べ物を置けばよいのです。さっさと取っていったほうが、優位の個体です。
 もう一頭は、どうしているでしょう。正常の反応ならば、見向きもしません。食べたくないよ、欲しくはないよ、とまあそんな風にとぼけた表情をしています。
 本当に欲しくないのでしょうか。そんなことはありません。実際は報復が恐いのです。ちょっとでも食べたそうにすれば、それだけ威嚇されます。ならば、とぼけているほうが賢明でしょう。
 サルは序列に厳しい生き物であると、「リップムーブメント」を説明している時に語りましたが、如実に表すのがこの採食時です。強い奴がたらふく食べてから徐々に下位の者にゆき渡ってゆきます。
 飼育係は、それを念頭において給餌する必要があります。十何頭かの群れで飼っているのなら二〜三頭分増した量を与える、頭数が少なければ少ないなりに、例えばできるだけ四方に散らして公平にゆき渡るよう心配りして与えたりします。
 それでも、トラブルは起きてしまうものです。相性を別にすれば、だいたいが力関係があいまいになった時で、引き金になるのは双方が夢中に採食している場合なんかにです。
 思い出すのは、昔日のニホンザルのペア。子までなした仲なのだからとは思うのですが、先住者のメスの服従意識が乏しかったからではないでしょうか。けんかをやり出すのは入舎後間もなくの採食している時間帯でした。
 担当を離れたからこそ見れたその時の光景、呆気にとられたものでした。オスの威嚇にメスは負けずにやり返すのです。あれではやられる、正直にそう思いました。

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