でっきぶらし(News Paper)

« 109号の10ページへ109号の12ページへ »

動物の仕草・動作あれこれ?U(類人猿編)【男と女の間には…(オランウ

 ゴリラの繊細なのと全く対照的なのがオランウータンです。性欲も旺盛なら、チンパンジーのようにメスの気持ちを配慮する、そんな気配りをする心も持ち合わせておりません。どこかの動物園で、交尾を拒否したメスに咬みついて重傷を負わせたなんて悪いオランウータンの話も聞いたこともあります。
 多分に社会的の乏しさにその大元があるのでしょう。体格はオスのほうがぐんと大きくても、ハーレムを作る訳でなく、オスもメスも元来は単独生活です。人風に言えば、気ままな生活を送っているのです。
 そんな理由からか、幼少時から一緒に飼育しても兄妹化してしまったりしません。悪い方面では、先の話のようにメスに対して非常に粗暴な行動を取ったりするようになります。
 では、メスはつつましい?いえいえ、現担当者が、何度か「あらかると」で語っているように排卵日が近づく度に担当者に取るなまめかしい仕草は、オランウータンならではの感がなきにしもあらずです。
 ほおにキスしたり、息を吹きかけたり、体のあちこちをいじくり回すなんて、なんとも人間臭くって笑ってしまうような、笑うに笑えないなまめかしさも感じたり、です。
 担当者の話により耳を傾けると、どうもオスのジュンが淡白になったことが背景にあるようです。ジュンがベリーをかまい始めると、担当者にその“なまめかしい仕草”をあまりしなくなった、と言うのですから。
 オランウータンのオスが淡白になるなんて、ちょっと信じられず想像もつきません。が、ここ一〜二年、ジュンはそんな信じられぬ行動をとっていたのです。
 少しは嫉妬心が湧いてきたのか、やっとベリーに執着心を表し始めたようです。年齢も共に男盛り女盛り、そろそろ朗報を聞かせてくれたって何の不思議もありません。
(松下憲行)

« 109号の10ページへ109号の12ページへ »