でっきぶらし(News Paper)

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チンパンジー村の新住人

 チンパンジーも世代交代を行ない、新しい繁殖計画の下で当園生まれのピーチ(メス・8才)、北海道生まれのカムイ(オス・8才)、熊本生まれのヨシミ(メス・8才)、同じく熊本生まれのコニー(メス・5才)が生活を共にしています。
 初めカムイが来園して、ピーチが見合いし同居。しばらくしてヨシミとコニーが来園し、先の2頭と見合いし同居と相成って、一つのグループが形成されるようになったのです。
 ヒトの性格は十人十色と言われますが、ヒトに近いチンパンジーも個性の豊かさでは負けてはいません。カムイは北海道生まれらしくのんびりとおおらか、ピーチは母親の性格そのままで機智に富み、コニーはまだ母親の恋しい年頃で同郷のヨシミに頼り切っていて、しばしばいらいらさせられます。
 4頭いっしょにしてのしばらくは、互いに遠慮がちに行動していた彼らも、次第に自我を出して行動をし始めるようになりました。特に目立ったのは餌に対するいじ汚さ。ヨシミは、口の中に入れようとする物まで横取りするなどのルール無視までするようになりました。
 しかし、カムイ、ピーチはヨシミとは同年齢ではあるものの体格では負けます。しかも横取りした後の行動も素早く、あっという間にその場から離れていってしまいます。なす術なく、ただギャーギャー泣いて私に訴えるのが精一杯です。
 食べ物へのいじ汚さ、時にはたくましいぐらいなのは、よそから来て暮らすためには必要不可欠なのかもしれません。新しい環境にすぐ溶け込み、人見知りもせず昔からいるように我が物顔で振舞ってさえいます。
 私に欠けている性格、それがうらやましさを誘っていらいらさせられているのかもしれません。ヨシミの図々しい性格に50才近いおっさんが妬くなんて、ちょっとみっともないですね。
(池ヶ谷正志)

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