でっきぶらし(News Paper)

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日本平の好記録・珍記録 〜 ツチブタ 〜

(小島昭一)
 ツチブタは、管歯目の1科、1属、1種と大変めずらしい動物のひとつです。サハラ砂漠以南のアフリカ大陸のほとんど全域に生息しています。
 我が国における飼育例の少ない貴重な動物でもあります。ただ夜行性の動物であるためそのような施設がないと動いている姿を見ることができないことから飼育している数が少ないのかもしれませんし、野生の時の餌であるシロアリや甲虫類を常時与えることもできないことなども原因のひとつかもしれません。そのため当園では、代用食として、鳥肉、ドックフード、ゆで卵の黄味などをミンチにし、ミルクと一緒に与えており良い結果をえています。
 国内におけるツチブタの飼育ですが、1952年に上野動物園、続いて、1963年に金沢動物園、1974年には安佐動物公園で飼育され、1978年の5月に同園で、国内初の出産が見られましたが、事故のため数日で子が死亡してしまったという報告例がありますが、その後の繁殖例がみられませんでした。
 当園において1983年夜行性動物館を建設したおりに、ツチブタの飼育を開始し、現在に至っております。その間に4回の出産、1回の流産が見られました。第1回が1988年3月10日(雌人工哺育)、第2回が1990年8月23日(雌人工哺育)と2頭共に成長し他園に移って飼育されています。その後、1994年9月6日に第3回の出産が見られ親による自然哺育で成長を続けましたが、生後22日目に肝出血、敗血症により死亡、第4回の出産が1996年5月4日、発見時すでに死亡していました。以上4回の出産において、人工哺育ながら子の成長に成功してきました。今後はなんとか親による自然哺育の成功にむけて飼育方法、出産時の準備などに充分注意しながら、自然哺育を成功させたいと思っております。

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