121号(1998年01月)5ページ
あらかると 「どっちが中、どっちが外」
「オーイ彼女、こっちに来ないか」毎朝、男が3人、彼女の家の前で行ったり来たり、中には家の中に入ろうと何度も体当たりしている者もいます・・・。
エッ!これって今ちまたでうわさの「ストーカー」?・・・。いえいえ、実はこれ、毎朝フライングケージの前で繰り広げられている光景です。
やって来る男というのは、動物園のカモの池からやって来るオシドリのオスたちです。中にいるメスたちに熱いラブコールを送っているのですが、哀しいかな目の前の金網が恋路の邪魔をしているのです。その為に金網の前を行ったり来たり、おかげで植え込みのマメツゲがはげてきています。
鳥たちの世界も、お嫁さんはメスなら誰でもいいわけではないようです。池の方にもオシドリのメスはいるのですが、どうもフライングケージのメスに恋をしたらしく、昨年の12月頃から毎日、足繁く通ってくるようになっています。
ちなみにフライングケージの中は、オス8羽にメス9羽のお婿さん不足の状況で、一羽だけ中に入れてあげれば、数の上では9対9とちょうどよくなります。が、実際はそううまくゆきません。
中の状況もメスが2羽で1羽のオスを争い、また片方ではオスが2羽で1羽のメスを争っています。いずこも、恋の世界は厳しいようです。時々手を貸してあげたくなるのですが、いやいや余計な手出しはすべきではないでしょう。
ところで彼らは、自分たちがどちらにいると認識しているのでしょうか?ひょっとしたら自分が檻の中にいて、外で自由にしているメスに逢いに来ているつもりかもしれません。
(鈴木和明)