122号(1998年03月)5ページ
あらかると 「カピバラの赤ちゃん誕生」
4月18日、カピバラの赤ちゃんが生まれました。その日はちょうど代番の日で、こういう日に限って何かが起こるものだとつくづく思いました。
その日の朝、放飼場へ出すため、シュートを開けても1頭だけなかなか出ようとしませんでした。「何かいつもと違う雰囲気だな」と感じつつも外へ出しました。
ひと通り作業を終了し、餌の準備に飼育課へ下りるとき、1頭がシュート前のコンクリートのところでもがいているような仕草をしていました。
昨年2度交尾を確認していたので、「もしかしたら陣痛がきているのでは」と不安に思いながら飼育課へ下りました。
餌の準備を終え戻って来てみると、案の定赤ちゃんが生まれた瞬間でした。(午前11時半)「やったー!」とその時は思ったのですが、次の瞬間、なにせ自分の担当する動物が出産するのは初めてのことでしたので、どのように対処していいのかわからず、あたふたしてしまいました。上空にはすぐさまカラスが飛んできて、すきあらばと睨みをきかせている始末です。すぐに獣医に来てもらい、母親と子供を室内に収容し、様子を見ることにしました。
母親はかなり神経質になっている様子で、他のものが近づこうものなら睨みをきかせて「近くに来るな」とばかりなき声を出していました。
12時12分、2頭目の赤ちゃんが生まれました。2頭とも不安そうな顔つきで母親を必死に探していました。手助けをしてあげたくなる程ぎごちない動きにやきもきさせられました。その後すぐに授乳が確認できたため、ひと安心しました。
生後3日目あたりからリンゴや青菜を採食しはじめ、今では体の方もだいぶ大きくなり、元気で放飼場を駆けずりまわっています。数?、双子のかわいいカピバラの赤ちゃんを見に来てください。
・・・追伸・・・
残念ながら、6月5日に1頭は肺炎のため死亡してしまいました。
(佐野彰彦)