123号(1998年05月)6ページ
あらかると 「修行がたりないよ」
お客様には大変申し訳ないのですが、作業の都合で閉園前に動物を室内に収容させて頂いています。もっとも、室内に収容してもちゃんと見られるようにはなっています。
お客様の中には、室内にいるほうが近くで見られる、餌を食べているところが見られる、と言ってむしろ喜ばれる方もいます。
それはさておき、動物を収容した後に放飼場を水洗いしていると、私の掃除している姿を見てからかいの言葉をかける方が時々います。
特に担当しているのが類人猿なので、十年一日のように言われるのが、私がメガネをかけているのを見て、なんだオランウータンじゃない、メガネザルだとか、服を着たオランウータンが掃除しているとか、です。この2つが一番耳にする言葉です。
私は、それを耳にする度に頭にきます。といっても、言われたことに対してではありません。そんなものは、入園料の一部くらいにしか思っていません。
怒りを覚えるのは、その古くさいセンスのなさ。ギャグ、笑いの大好きな私としては、そのセンスのない言葉を聞くたびに、たまには手にしているホースを思わず離して拍手して座布団一枚と言ってしまうようなギャグを飛ばしてみろよ、と心の中で思ってしまうのです。
修行が足りない、点のつけようがないのが多すぎます。お客様、もう少し頑張って勉強してみてください。そうすれば、私も期待に胸をふくらませて毎日放飼場へ掃除に向かわせてもらいます。
(池ヶ谷正志)