123号(1998年05月)7ページ
友の会コーナー 「ZOO教研報告’98」
佐渡友 章子
今年のZOO教研(日本動物園水族館研究会)は、「こども動物園」をテーマに上野動物園で行なわれました。こども動物園というのは、ウサギやヒヨコを直接抱けるふれあいコーナーなど、子供を主な対象とした活動を行なっている場所です。上野動物園が世界で最初に作ったもので、今年で50周年を迎えたということです。日本平動物園にもこども動物園があり、幼稚園や保育園を対象にした幼児動物教室などを行なっています。
ZOO教研では、こども動物園での身障者向けサマースクールなどのいろいろな話がありましたが、一方で今後のこども動物園がどうあるべきかという話もありました。同じ動物園の中の野生動物を見せている部分とのつながりをどうするのかが、今後の課題だそうです。
こども動物園以外の話もありました。海の中道水族館のコンパニオンのお姉さんは、やたら流ちょうなプロっぽい話し方をしていて、最低3ヶ月も専門の研修をやるということでした。盛岡動物園の飼育係のお兄さんは友の会の話をしてくれました。盛岡動物園では、飼育係の人が例会の内容を考えて、鳥の飛行機の工作とかいろいろおもしろいことをやってくれるそうです。また、友の会会員がボランティアとして動物園のスポットガイドのお手伝いをしたりもするそうです。
それから、上野動物園のこども動物園を見てきました。うさぎコーナーでは、丁寧にアルバイトさんが一家族に抱き方を説明しながら抱かせていましたが、見たところ1回に数人しかできそうになく、自由にさわれる日本平とはだいぶ趣が違っていました。あと、羊の身になってあげられる羊マント(重さが体感できます)、これに関連して羊毛の毛糸作り(ボランティアの方が教えてくれます)、そして自由にさわれる山羊など。ただ見て触るだけでなく、いろんな角度から学習してもらおうとする工夫がされていました。
懇親会ではいろんな人に会いました。ボランティアの出席者は日本平のほかは上野など東京都の動物園の人だけでした。でも若い人が結構いたので、自分の友の会の名刺を作って交換するだけでも楽しいかもしれない、と思います。
懇親会のあと、バットディテクターというコウモリ探知機を使い、アブラコウモリという、都会のそこらに住んでいて全然珍しくないコウモリを見ることができました。釣り竿の先っぽにハエに似たもの(毛針)をくっつけて、池に向かって細かく振ると、餌かと思って寄ってきます。見ていたら、日本平の園内の池でも出来そうな感じがしたんですけど、どうでしょうか?
それから、上野動物園にはゴリラとトラの森という、新しくできたコーナーがありました。トラはところどころできたビューポイントが設けられ、ある程度動物側のプライバシーが守られている感じがしました。眺めるというより覗きこむ感じで、見えると少し怖さが感じられます。ゴリラは逆に眺める感じで作られていて、個体間のふれあいを垣間見ることができます。これも工夫されており、観客がゴリラ側から見えにくいように作られていました。通路もとても凝っていて、自然の雰囲気を体感できました。
ZOO教研2日目には、こども動物園をテーマにしたシンポジウムも行なわれました。全体的に、こども動物園=子供のための動物園という前提のもとに講演が行なわれたので、幼稚園の園長さんや童話作家といった方たちがゲストでした。なお、このシンポジウムの最中に隣で寝ていた人がいましたが、誰かは言わないでおきます。
最後に、個人的な感想としては「こども動物園」と言われると、子供のためだけの場所のような気がしますが、大人もウサギやヒヨコにさわってみたいのは同じなのだから、大人も気軽に楽しめるコーナーにしてほしいと思います。