127号(1999年01月)3ページ
あらかると 「今年こそ、2世誕生を」
日本平動物園には、現在3頭のレッサ―パンダがいます。それぞれオスの「シンシン」とメスの「ミミ」と「かあさん」という名前がついています。
皆さんはレッサ―パンダというとどんなイメージが浮かびますか。たぶん皆さん「かわいい動物」というイメージが浮かぶのではないでしょうか。確かに近くで見ていると毛がフサフサしていて、内股で歩く姿は本当にかわいいものです。しかし、レッサ―パンダにも「かわいい」なりに実は問題があるのです。それは、子供が生まれないということです。
10年前に子供が生まれたきり、それ以来ずっと赤ちゃんが生まれていません。そこで平成9年1月に新たに北海道の釧路市動物園よりメスの「かあさん」を迎えて何とか子供をつくってもらうことになりました。
ではなぜわざわざ北海道の動物園からメスのレッサ―パンダを借りてまで子供が欲しいのかと言いますと、日本の動物園では、現在約200頭のレッサ―パンダが飼育されています。このうち子供をよく産む個体と全然子供が出来ない個体があり、子供をよく産む個体は、その子孫ばかりが増えてしまい、遺伝子が偏ってしまうという問題が出てきます。(いわゆる近親交配の恐れがでてくるのです。)
そしてこんな問題を早めに回避するために、「種の保存・繁殖計画」に基づき、新しい血統を作り、それを保存していかなければならない状況にあるのです。
そこで、日本平動物園にいる「シンシン」の子孫があまりいないので「シンシン」の血統が大変貴重となってくるのです。レッサ―パンダの子供はそれはそれでとてもかわいいのですが、動物園には絶滅の危機にある動物や稀少動物達を保護し、また繁殖させて数を増やし、その種が絶えることのないようにするという大切な役割もあるのです。
担当者としては、このような問題が早くなくなることを願いつつ、今年こそ皆さんにレッサ―パンダの子供をお見せできるよう期待している毎日です。
(花崎貴行)