128号(1999年03月)2ページ
チンパンジーのピーチ 立派なお母さんに変身
「類人猿の中で一番にぎやかなサルは」の問いにたぶんほとんどの方は「チンパンジー」とお答えになるのではないでしょうか。
当園のチンパンジーも朝、放飼場に出た瞬間オスのカムイが「俺がリーダーだ!」と言わんばかりに放飼場を走り回る誇示行動を行ない、にぎやかそのものです。この中にも彼らの社会性が見られ、それぞれの個体のかけひきもあるのです。
昨年3月6日にはピーチに、そして4月12日にはヨシミに赤ちゃんが産まれました。ピーチは抱き方が悪かったため、結局子を取り上げて人工哺育となり、現在「レーナ」と名付けられて、来園者のアイドル的存在になっています。
そして今年4月10日ピーチに2頭目の赤ちゃんが産まれました。前回、腹の下の方に子供を横向きに抱いていたのですが、今回は頭を上に子を自分の胸に抱いており、3日目には授乳も確認できました。
実は出産前からピーチの態度が優しく、前回のような自分の乳首を吸うなんて行動も見られなかったのです。産後、横になっている時、自分は腕枕をして乳を飲みやすい位置に子を置いている姿は、もうベテランママといった風格すら漂っているようです。
こうしたうれしいニュースの陰に実は悲しいこともあったのです。4月7日の午後1時半頃ヨシミの子「オリーヴ」が事故に遭い、急死しました。もうちょっとで1才の誕生日を迎えられるはずだったのです。とても残念、いや悔しい限りです。
今回生まれた子は「リズ」と名付けられました。「リズ」には「オリーヴ」の分まで元気で、にぎやかに暮らしてもらいたいものです。