128号(1999年03月)4ページ
あらかると 「オランウータンの会議を受けて」
過日、獣医がオランウータン会議に出席したところ、オランウータンもゴリラ同様、全国トータルでの飼育頭数が減ってきているとのことです。ゴリラの飼育頭数は38頭、オランウータンでも53頭にしか過ぎません。
ここしばらくは繁殖にいたっておらずジリ貧状態で、当園もその例にもれません。他園館では、妊娠の確実性を増す為に、尿検査を行なっているようです。
しかし、尿検査のみでは不十分です。会議の中で当園では、体温測定を実施していることを出したところ、他園館で実施している園は1ヶ所もなかったそうです。
当園では、前担当者の地道な努力によって、子供の頃より習慣づけられていました。それは私の代になっても継続は可能で、2回の妊娠は体温の変化によって知ることができました。
それにメスのベリーは、何故か排卵日になると私の体に触りにくるのが常です。体温の変化、尿検査による数値の変化、この3点がそろえば、良い資料になります。早速、1ヶ月間実施してみることに―。
問題は、尿を確実に採取する方法です。これは、以前よりベリーは水飲みの中にしてしまう癖があって、頭痛のタネだったのですが、今回は逆に役立ちました。
水飲みの水を掻き出して、布できれいにふいて乾かしておくと、翌朝にはその中にたっぷりと尿がたまっています。後は、それを検査に必要な分だけ採取すればOKというわけです。
1ヶ月、獣医、代番者の協力を得て無事終了。この結果が貴重な資料として、全国のオランウータンの繁殖に少しでも役立てば、と願ってやみません。
(池ヶ谷正志)