でっきぶらし(News Paper)

« 141号の3ページへ141号の5ページへ »

オマハからのたより オマハ市ヘンリー・ドーリー動物園ってどんなとこ

○はじめに
 皆さん、静岡市の姉妹都市って知ってますか?
 静岡市はアメリカのオマハ市とフランスのカンヌ市と姉妹都市提携を結んでいます。私は今、そのうちのオマハ市に来ているのですが、ここには世界でも指折りの有名な動物園があるんです。それがこのヘンリー・ドーリー動物園。私はこの9月から12月までここの教育部門で研修を受けることになっています。そこで今回は、この動物園を簡単にご紹介いたします。

○どんな動物が見れるの?
 ”GLT”って何のことか分かります?実はこれ、小さなおサルさんで”ゴールデン・ライオン・タマリン”のこと。日本平動物園にもたくさんいる小型サルの一種で、とてもきれいな金色をしています。このGLTをヘンリー・ドーリー動物園では、縦横約75m・高さ24mという世界最大の屋内ジャングルで飼っているんです。他にもこのジャングルでは、マレーバク・テナガザル・コビトカバ、さらにはフロリダ州にいるというホワイト・アリゲーター(白いワニ)などを見ることができます。
 他にも、アメリカのど真ん中にある(=海からは遠い)とはとても思えない素敵な水族館や、来年オープン予定のこれまた世界最大となる砂漠ドームなど、立派な展示が目白押し。何せ広い動物園(面積は日本平動物園の約5倍)ですから、緑の草の中にいるキリンやサイ、それにオカピを見ることができるんです。

○どんなことをやってるの?
 この動物園が世界的に有名なわけは、世界最大の屋内ジャングルではなく、色々な研究と動物の繁殖にあるんです。例えば、世界で初めて人工授精のゴリラを誕生させたり、トラをなんと27頭も飼っていたり、あるいは北米で最も絶滅に瀕しているクロアシイタチの飼育繁殖・さらには野生復帰を実施しています。
 その一方で、地元の学校や子供達を対象にした色々な教育プログラムも実施しています。特にこの動物園では、ジャングルや海・砂漠といった生態系を中心にして、そこにどんな動物がいて、どんな生活をしているのかを教えています。それもただ話すだけではなく、何か作ってみたり、動物になってみるゲームをしたりと、子供達が楽しみながら自然に学べるように工夫しているんです。さらに、この動物園には9種類約四00人ものボランティアがいて、お客さんのガイドなど様々な面で動物園の運営に参加しています。

○私立動物園なの?
 ところでこの「ヘンリー・ドーリー動物園」って名前、人の名前っぽいですよね。それじゃ、これは私立動物園でヘンリー・ドーリーさんは初代の社長さんかな?と思った人、残念でした。彼は地元新聞社の社長さんだった人で、遺産を動物園に寄付したんだそうです。アメリカでは遺産や収入の一部を(税金を納める代わりに)動物園や病院に寄付するのが一般的で、これが動物園などにとっては収入の大きな柱になっています。実は、ここも50年前は公立の小さな動物園だったんです。そこにオマハ市動物園協会という組織を作って、土地の権利以外の全てを任せるようにしたそうです(市からは土地を無償で貸して、毎年ほぼ一定額の補助金を支給)。それで今は「非営利組織」というわけで、いわゆる私立とはちょっと違うんですね。

 そんなわけで、色々と日本平動物園とは違うところの目立つ動物園ですが、まずは学校向けの教育プログラムと、ボランティアとの協力方法をしっかり勉強してきたいと思ってます。


(佐渡友 陽一)

« 141号の3ページへ141号の5ページへ »