でっきぶらし(News Paper)

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「はるか海の彼方」動物交換 実現に向け・一路オマハへ

137号、138号に掲載されたように、アメリカ、オマハ市との友好35周年を記念しオマハ・ヘンリードーリー動物園に動物相互交換実施に向けての最終交渉、及び最新の飼育技術、医療技術の習得のため8月10日当園の海野副主幹と鈴木主任の二人が渡米しました。「弥次喜多道中」の始まりです。

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[協議内容と結果]

日本平動物園からは、タンチョウ・ホンドタヌキ・ニホンリス・コシジロヤマドリ・スッポンモドキを寄贈。
ヘンリードーリー動物園からは、ハクトウワシ・ブラックジャガー・ピューマ・バイソン ・プロングホーン(獣舎の予定上、2004年以降になります)が送られてくることになり、文章の取り交わしも行われました。
ヘンリードーリー動物園では、来年春にオープン予定の「デザートドーム」が建設中でした。中は2階建てで1階は砂漠ゾーン、地下は夜行性動物館になっていました。
園内は広く園路には本物のSLや五連結のオープンバスが走っていて人気を博していました。
IMXシアターもかなりの人気で1日3本の動物に関する映画を上映していました。
もう一つ大変良かったのは入り口ゲートの横に、2台のベッドや酸素吸入機等を備えた保健室を完備していました。オマハの病院と提携して3名の看護婦が登録されていて、常時1名が交代で待機していました。子供のケガ、気分の悪くなった人、乳幼児の哺乳などに利用され、利用率は高いとのことでした。当園でもこのような施設を来園者のサービスの一環として繁忙期だけでも設置できるといいと思いました。
また、ヘンリードーリー動物園は、車で30分ほどの郊外に、17、8ヘクタールの広大なワイルドサファリを保有しています。入園料は車1台で10ドルで、エルク45頭、オジロジカ、ハイイロオオカミ13頭、バイソン39頭、アルパカ、アダックス、ガウル♀36頭♂4頭、プロングホーン13頭飼育しており、一角には繁殖センターと野生動物のリハビリセンターを兼ねた病院も併設されていました。

*リンカーン子供動物園・・・ワイルドサファリから50分ほど離れた町にある。

ポニー7頭乗馬は6頭(常時3〜5頭)つかってライドをする。体重制限あり、ボランティアの学生が(中学から高校生)馬を引いている。年間(約半年間)2万2千人。
全部学生のボランティアが交代で行っている。
面積は日本平の半分ほど。
*ブルックフィールドZOO

1937年開園の古い動物園
面積は日本平の3倍近い、全くフラットな土地
年間入園者は2百万人といい、夏休みと言うこともあってかなりの入園者がある。
*リンカーンパークZOO

類人猿の展示はかなり工夫してあってよかった。そんなに広くない室内にロープを張り巡らし、消防のホースで編んだハンモックがよかった。床には麦稈が敷き詰めてありいろいろなおもちゃがいれてあった。エンリッチメントを実行していると思う。
動物で珍しいものは、アラビアオリックス・ターキンなどがいた。
おわりに
 この度のオマハ出張は多くの課題があり、その中でも動物交換における双方の調達、輸出入手続状況、施設設備状況等の進捗状況の確認とハクトウワシ移動の確認及び確約、オマハからの人事交流について等が主なものでした。このような重要な課題をクリアするためには、なんと言っても通訳をしてくれる武市夫人の力なしでは困難なものでした。当日は武市さんのご主人にもミーティングに参加していただき、結果的には最大の成果を得ることができました。もちろんシモンズ園長及びダン飼育課長をはじめヘンリードーリ動物園のスタッフの絶大な協力があってのことと思います。そのほか姉妹都市交流協会会長はじめ、本当に多くの人達にお世話になりました。
 ヘンリードーリ動物園には世界一を誇れるものがいくつもあり、その代表が「リード・ジャングル」「キャット・コンプレックス」などですが、その規模の大きさには驚きます。また、裏側を見学すると収容動物を建物のいずれの部屋にもスムースに移動できるようにと張り巡らされた通路など様々な工夫がされていました。さらに飼育技術もアフリカゾウのスクイジングケージを10年以上も前に設置したことや、今ではゴリラの精液採集を麻酔をすることも無く行っていたり、プロングホーンの人工保育なども体験できました。また断翼術に替わる最新の医療技術も習得でき、当園の医療技術に導入したいと思います。
我々にこのような素晴らしい機会を与えていただいたことを、園長はじめ関係者に深く感謝いたします。

(海野 隆至)

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