144号(2001年11月)2ページ
病院だより・マサイキリン・レッサーパンダ・マレーバクの相次ぐ来園
昨年11月29日、メスのマサイキリンが日本平動物園へやって来ました。4月22日にメスのキッコが亡くなってから一人きりになってしまい寂しかったオスのトッポのところへ、お嫁さんが札幌市円山動物園のご厚意によりやって来ました。
平成12年6月16日に熊本市動植物園で生また可愛らしい子です。なぜ円山動物園のご厚意なのに熊本市動植物園の生まれなのかと言うと、これはブリーディングローンによって、札幌市から熊本市へ預けられている親から生まれた子のためです。
このブリーディングローンと言うのは、日本中の多くの動物園で繁殖のため頻繁に行われている方法です。同じ動物園内でのペアによる繁殖では血縁関係が濃くなってしまうため、それを防ぐために血縁関係のない系統のオス又はメスを繁殖のため借りて子孫を増やしていく方法です。その為、動物の種類によっては、全国の動物園にいる個体が登録されており、その繁殖や移動することについて調整をする担当者がそれぞれ決まっており、それぞれが遺伝的にも近い血縁関係のペアとならないように調整しています。いわばそれぞれの系統の家系図を作って調整を行っているわけです。日本平動物園でもレッサーパンダとオオアリクイを担当している調整者の職員がいます。
このマサイキリンと同様に、12月18日にはブリーディングローンによって、レッサーパンダのメスとマレーバクのメスが広島市安佐動物公園から一緒にやって来ました。このレッサーパンダとマレーバクは、ワシントン条約の希少動物のリストにも該当する動物であり、レッサーパンダやマレーバクの種別調整者とも相談し調整して、環境省の移動の許可が下りてようやく今回の来園となったわけです。
ご存知のとおりレッサーパンダは日本平動物園のシンボルアニマルです。現在いるシンシンとミミは高齢となり、新たな繁殖は望めません。そこで、若いオスとメスを新たに導入して繁殖を図ろうと言うわけです。今回はまずメスが来園しましたが、平成14年中にはオスも来園する予定になっています。
一方マレーバクは平成5年にメスが死亡してからずっとオス1頭でしたが、やっと安佐動物公園から借り受けることができたわけです。
今回来園したこのマサイキリン、レッサーパンダ、マレーバクと言う貴重な動物たちが日本平動物園に慣れて、元気な可愛らしい赤ちゃんが一日も早く誕生することを期待しています。