148号(2002年07月)4ページ
先日チンパンジーにヨーグルトを給餌中にスプーンを持っていかれてしまいました。しかも2才になる子供のチンパンジーに・・・
担当になり立ての頃は、持っていかれる事は何回もありましたが、ここ十数年かはそんなことはありませんでした。言い訳をさせてもらうなら、母親の餌食いが少し気になり、ずっとそちらばかりに気をとられ、手元がお留守になったところ、横からすっともっていかれてしまいました。
子供はいい遊び道具が出来たとばかり、スプーンをかんだり、檻にぶつけ、音が出るのを楽しんだりしていました。まあ、取られても大丈夫なプラスチックのスプーンですので安心なのですが、それでも返して欲しいと思っても子供のこと。飽きるまで放す理由がありません。
そこで母親に子供からスプーンを取り上げてもらおうと、スプーンを指さし、持ってくるように指示しても、取ろうとはしません。自分が欲しい物なら、子供を泣かせてまでも取り上げてしまうくせに・・
母親が、スプーンを持ったときに指示すれば、私の所へすぐに持ってくるはずなのですが、母親はスプーンにまったく興味がないらしく、スプーンには見向きもしません。それでもしつこく私がスプーンを返して欲しいと指示していたら、母親はスプーンを持ってこないで、スプーンを持って遊んでいる子供を背中に乗せ、連れてこようとしました。それはあたかも「あんた、そんなにスプーンを返して欲しいなら、子供をそっちに連れていくから、あんたが、直接子供からスプーン返してもらえば・・・」という感にとれました。しかし、子供もたいしたもの、もう少しで、私の 手が届くという所まで来ると、母親の背中から降りて部屋の奥に逆戻り。
そんなことを2,3回繰り返したところで私も朝になれば、飽きて部屋の床に転がっているだろうと思い、そのままにして帰ってしまいました。
案の定、翌日、隣の部屋の床にスプーンは転がっていました。母親としては子供が機嫌良く遊んでいるおもちゃを取りあげるにはしのびなく、とりあえず、子供をそっちへ連れていくから、それでも駄目な時は、あんたもそれで諦めなという事だったのでしょうか。私は、母親に引導を渡らせたのでしょう。じたばたした自分が恥ずかしい〃。