149号(2002年09月)3ページ
友の会コーナー 第43回日本動物園水族館教育研究会に参加して 佐
今回の研究会のテーマは、「利用者が関心をもてる解説」。通り過ぎていくお客さんの目をいかに引き付けることが出来るのか・・・。そのことに女性(発表者)ならではの手作りでかわいい展示で挑んだのが、円山動物園動物科学館にありました。
「フムフム」というヒヨコを模したマスコットをうまく使って、来館者の心をくすぐるような言葉で誘導したり、引っ張ったり、くちばしを開いてみたり、一部を丁寧に布で作ってあったりと、私は見ていて「よく作ったなぁ〜」と感心してしまいました。決してリアルな作りではなく、一見するとキョロちゃんのよう。でも、子供の興味をいかに引き付けるか、その展示で何を伝えるかといった点において、展示としてはとても成功しているように思えました。それだけに、手作りではどうしても消耗するので、ぜひそれらの工夫を外注などして残していけたらと思います。
また、そこまでは出来ないけど、という人のためにアドバイスをくださったのが、東京動物園協会から「動物園での教材としての『ぬいぐるみ』の利用について」。市販のぬいぐるみで伝えたいテーマを絞り、重さを同じにしたり、爪の部分だけよりリアルに工夫したり、ぬいぐるみが本物とまったく同じではないことを利用して間違い探しに使う、などです。最近のぬいぐるみにはかなり本格的なものがあるので、使い方によっては十分教材に成り得るということでした。我が家にも今までに買いだめたぬいぐるみがあるので、来年度から始まるツアーガイドでは、ぜひ活用してみたいと思っています。
このように、今までの園館にはあまりなかったような、カラフルでかわいらしい展示が多数紹介された一方で、今回の発表の大半を占めたのが、「総合学習の一環としてどのように利用してもらうか」といった内容でした。このような内容に重点をおいた発表園館の取り組みのなかで共通しているのが、ワークシートなどの学習プログラムを園側が作成し利用する小中学校に教材として提供するというものです。大洗水族館では、これらをCD-R にまとめ、習熟度にあわせて利用できるよういくつかのプログラムが用意されており、また教材だけではなく講師派遣など、園外での活動にも力を入れています。
そのような中で、小学校が園館に見学に行く際の事前授業を、「動物研究所Pocket」という個人で行っている方がいました。小学校と園館を結ぶ仲介事業です。まだ試験的な段階ではありましたが、教師との打ち合わせ、頭骨などを使っての事前授業、それを受けての当日の園館側職員による指導、といったこのような流れがとても子供たちにとって有効的な学習プログラムであるとともに、周りの関係者にとってもやりやすい環境であったことが伺えました。小学校の教室での事前授業がとても魅力的だったので 、将来的に自分もボランティアで関わりたいと思います。
このような教育機関と連動した施設に、設立当初から位置付けた園館が、ふくしま海洋科学館です。県生涯学習課所管の生涯学習施設として2000年に開館しました。教育普及担当の職員数も並ではなく、社会・学校教育担当4名、解説員6名、ボランティアコーディネーター1名という体制です(ボランティアさんは240名もいます!)。
年々この研究会に学校関係者が出席するようになり 、発表自体も学校関係者の協力を得ているものが増えてきています。このように、動物園を教育施設として利用したいという声が高まっているようですので、いいプログラムを提供してゆきたいと願っています。