174号(2007年02月)4ページ
がんばれおじいちゃん!
日本平動物園では現在、21羽のフンボルトペンギンを飼育しています。
体長約70cm、体重約4kg、野生では南アメリカの太平洋側、ペルーやチリの海岸に生息しています。
日頃、飼育員から手渡しでエサのアジをもらう子(飼育員はみんな担当する動物が子供みたいにかわいいです!)がいたり、チョウチョやトンボを追いかけたり飼育員の掃除道具をくわえたりと、その好奇心旺盛な行動と愛くるしい容姿でゾウやレッサーパンダと並ぶ当園の人気者です。
そんなペンギン達が毎年10月から5月頃、恋の季節(繁殖)を迎えます。去年は4月と5月に計3羽生まれ今も元気に育っています。
今シーズンも10月頃より互いに羽づくろいしたり、クチバシを叩きあう(まるでキスをしているようです!)しぐさやプールの中で泳ぎながら首を絡めあうようなしぐさ、腹ばいになったメスの背中に頭を乗せてよりそう(まるで膝マクラです!)オスの姿がみられ、その熱々ぶりはうらやましい限りです・・(嫉妬)。
またカップルが出来だす頃よりオス達が巣穴に頻繁に巣材(野生では小石や小枝、当園では日よけに使うヨシズを切った物)を運ぶ姿が見られます。
それはまるでメスに『僕と結婚したらこんなに立派な一戸建てもあるよ!』とアピールしているようで、益々人間の恋人たちと重なって見えてしまいます・・(哀)。
さて、今回紹介するペンギンの名前は『おじいちゃん』。イギリスから来園して今年で21年、一番お年寄りのペンギン君です。
人間で言えばもう70歳〜80歳くらいでしょうか?年の功か多少の事には動じず、いつもマイペースでプールの中よりも陸地にいることが多く、動きも若者よりも少々スローですが、エサの時には飼育員から直接もらおうと、近くにねだりに来ては口をあけて待っているちゃっかり者、見ているお客様が思わず微笑んでしまう愛くるしさです。
ところが一度恋のシーズンが始まると『おじいちゃん』はいつも最初にプロポーズをしています。決まっていつもお相手は10歳年下で首すじのスーとした細身のメスペンギン、熱烈なキスと抱擁でとりこにし、決め手は他のどのペンギンよりも熱心に作る巣穴でしょうか!!
床一面に敷き詰めたヨシズはふかふかで、誰よりも先に若奥様と結ばれています。産卵後もさすがはイギリス生まれのジェントルマン!若奥様はすぐにプールに遊びに行ってしまう中、文句ひとついわず(飼育担当者の推測)いつも甲斐甲斐しく卵を温めています。
そんな『おじいちゃん』ですが、残念ながら子宝に恵まれておりません。前回も残念なことに無精卵で孵化には至りませんでした。今回この原稿を書いている最中(1月後半)に2個の産卵があり一生懸命抱卵しているところです。
順調に行けば3月後半に2世誕生でしょうか、『がんばれおじいちゃん!!』今度こそぜひ、親子でエサをねだりに来る姿を見たいと願う、担当者の今日この頃です。
(河村 茂保)