186号(2009年02月)7ページ
動物園実習を終えて
日本大学 生物資源科学部 獣医学科5年
吉田 千紘
私は8月4日から8日までの5日間獣医学実習をさせていただきました。大学の単位取得のための実習と言うことで以前から興味のあった動物園実習を選択したのですが、小動物臨床を進路としてメインに考えていた私にとって今回の実習は進路変更を本気で考える程楽しく、充実したものとなりました。
10年振りくらいに日本平動物園の門をくぐると、そこには幼いころに見たのと同じ風景が広がっていて、とても懐かしく思いました。
動物病院には多種多様な動物たちが収容されていました。みんなその子その子に合った飼育・治療を受けていて、これだけの数の珍しい動物に個別に対応する獣医師、飼育員さんたちの動物に対する深い愛情を感じました。
実習期間中には、獣医学実習、飼育実習の他にもサマースクールやホッキョクグマの公開(仮)などさまざまなイベントに参加させていただき、獣医師の仕事の広さを感じるとともに『善意の誘拐』(巣立ちの練習をしている野鳥を怪我しているのと間違えて保護してしまう)や『ブリーディングローン』など動物園特有のさまざまなことを知ることができました。
それまで私は動物園の役割と言うと種の保存や、調査・研究など学問的なことばかりを考えていました。でも、今回小学生を対象としたサマースクールで子供たちが本当に楽しそうに動物を見て、触って、学んでいるのを見て娯楽・教育の場としての動物園の役割を思い出しました。
知らない人に対して強い警戒心を持つ動物たちを相手にこのようなことができるのは、獣医師や飼育員さんたちが動物たちに愛情を注ぎ、強い信頼関係を築いているからこそだなと思いました。
診療では、獣医さんたちは飼育員さんたちと密に連絡をとり動物の少しの変化も見逃さず、本当にすごいと思いました。患部をゴムでできた手作りのパッドで保護したり、ささくれをこまめに切ったり、薬だけでなく愛情で治療している印象を受けとても感動しました。
どんなにがんばっても何十年も動物を世話している飼育員さんにはかなわないことがあるという言葉がとても印象に残っています。
今回の実習では、足手まといの私を連れて回診しながらたくさんのことを教えてくださった柿島先生をはじめ、後藤先生、長倉先生には大変お世話になりました。飼育員の皆様にも本当に親切にしていただきありがとうございました。
非常に楽しく充実した毎日を過ごすことができました。この場をお借りして御礼申し上げさせていただきます。本当にありがとうございました。