186号(2009年02月)8ページ
病院だより 入院室での格闘
小型サル舎の改修工事のため、リスザル全13頭が12月から1月にかけて動物病院に入院することになりました。
動物病院には病気で入院する以外にも、今回のような獣舎の工事や仲間同士のトラブルからの隔離、他の動物園へ旅立つ準備期間としてなど様々な理由で動物達が出入りをすることがあります。
入院室の小動物用ケージ上下2段はこの2ヶ月元気なリスザル御一行様に貸し切りです。
リスザルはみなさんにも人気のある動物です。しばらくぶりに会う私の友人は、私よりリスザルに会うのを楽しみに動物園に遊びに来たというほどです。
かわいらしくよく動きまわる姿は見ていて飽きないですよね。寒くなり出すと日向側の網に並んでしがみついてひなたぼっこをする姿には、みなさんもニコニコと温かい気持ちで見ていてくれているのだなと感じています。
さて、獣舎と比べると狭くて日々の刺激のない入院室での長期宿泊。彼らが退屈しないために、元気にこの環境で生活するために、病院担当飼育員は考えてくれました。しかも、夢を持って!ロープと木の棒でかわいらしいブランコを吊り下げてくれたのです。
「どうやって遊ぶかな?ちょこんと乗ったりするのかな?」彼らの反応にウキウキワクワクしていました。ブランコとして機能しなくても、ここから何かおもしろい行動が引き出せれば改修後のリスザル舎にも応用してお客さんにもより楽しんでもらえるのでは?
翌朝、「おはよーう・・キャー」昨日取り付けたばかりのかわいらしいブランコは、なんとロープが引きちぎられ見るも無惨な姿に・・「あぁ、予感はしていたけれどこんなに早く・・」そう言いながらも、改良第2段の制作に担当者は負けじと取り組んでくれました。
が・・またもビリビリのロープが揺れていました。私達の期待と奮闘虚しく、そんなことは関係なしにリスザル達は元気に過ごし、退院予定も決まりました。改修により少し変化したリスザル舎で彼らはどんな風に行動するでしょうか?
さてさて、ブランコの夢破れた飼育員。いいえ、あきらめていませんでした。入院してきた他の小型サル達にも試しています。けれど、まだ誰も乗ってはくれません。病院担当飼育員は入院動物達にきめ細やかな飼育と看護を日々続けてくれています。
その目線からそのうちきっと、みなさんに楽しんでもらえる展示につながる発見や発明が生まれてくるのでは?と私もあきらめず期待しています。
(長倉 綾子)