211号(2013年04月)3ページ
≪病院だより≫動物病院ガイドはじめました!
みなさんは日本平動物園に動物病院があるのを知っていますか?エントランスのすぐ横、川を挟んだ隣に建っているのが動物病院です。動物病院にはケガや病気になってしまった園内の動物や、野生で保護された動物たちが元気になるまで暮らしています。
動物病院では動物の死のような悲しい出来事もありますが、人知れず面白い出来事も多いのです。たとえば!治療室に並ぶ「小麦粉」「マヨネーズ」「サラダ油」「食器用洗剤」。これはだれかの私物ではありません。命の危機にある動物たちを救う重要なアイテムなのです。これらはねずみとりに誤ってかかってしまった鳥たちに使います。ねずみとりのベトベトはとても強力で、正攻法ではなかなか取れません。動物にできるだけ害のないもので、ということでこのアイテムたちが用意されています。試行錯誤の結果、マヨネーズがベトベトも取れ、油分もほどよいということがわかりました。鳥たちの目や口に入らないように注意しながらマヨネーズでベトベトを溶かし、さらにマヨネーズの油分を、薄めた食器用洗剤で洗い流します。食器用洗剤で洗いすぎると本来の羽の油分がなくなってしまい羽づやが悪くなり、雨をはじかなくなってしまい、体が濡れて弱ってしまいます。そうなると今度は人用のコンディショナーがいいのかな?と個人的に考えています。このように動物病院ではいろいろな道具で試行錯誤を繰り返しています。
他にもこんなことがありました。最近1歳のお誕生日を迎えたアカテタマリンのミイ。ミイの暮らす入院室に調子が悪くなったヒツジが入院し、たくさんの飼育員さんがお見舞いに来てくれました。しかし元気いっぱいのミイよりも体調の悪いヒツジのお部屋にばかり人だかりができていました。そんな時、突然ミイの「ギャーーー!!!」と鳴く声が入院室に響きました!心配で急いで見に行くと、どうにかしてみんなの注意をひきたかったのか、ぶらさがっているブランコのひもの隙間に頭をつっこんでいました。しかしブランコと頭の間はすかすかで自分で戻れるようです。それを何度も何度も繰り返すのでこちらも慣れてしまい、ミイの叫び声が聞こえても体を向けずちらっと見る程度になってしまいました(本当に何かあるかもしれないので一応見ます)。そしてついにミイは獣医さんに「オオカミ少年」と言われてしまいました。
動物病院にはゆっくり休んでいる動物がいるので残念ながらなかなかみなさんに見に来ていただく機会がありません。そこでみなさんに少しでも動物病院のことを知ってもらえるようにエントランスの大きなけやきの木の下に看板を作り、その近くで「動物病院こっそりガイド」を始めました。看板には動物病院の新聞などを載せているのでぜひ読んでみてくださいね。ガイドは急患のない時限定で、時間も決めることができないのではじめる前に放送でお知らせをしています。暖かい晴れた日には動物を連れていくこともあります。何が来るかはその時病院にいる動物次第!と時間も内容も日によって全く違うガイドですが、動物園に来ていただいたみなさんに何か少しでも動物のこと、動物病院のことをお伝えできればと思います。
動物病院担当 板東 はるな