211号(2013年04月)6ページ
スポットガイドだより
《2月17日 フンボルトペンギン》
新しい年を迎えて間もない2013年1月20日13:30、熱帯鳥類館のZOOスポットガイドを開催しました。
ご存知の方々もいらっしゃるかと思いますが、この熱帯鳥類館は完全なインドア施設で、2013年1月20日現在、稼働が中止されている動物園の最上部への導入施設である、オートチェアーの山麓部にほど近い場所に建っています。厳冬期であるこの時期、中は非常に暖かいので、あまり鳥類に興味が無い人達も好んで来館する程です。
さて、今回のガイド担当は新人の女性飼育員。ガイドの様々な準備を、何日も前から張り切って行っていました。…実は、この【スポットガイドだより】を以前から読んでくださっている方がいらしたら、多分、お気付きの事と思いますが…近年、お陰様で当日本平動物園は施設もあちこちリニューアルされて新しくなったのと同時に、飼育スタッフも名実ともに新しい、若い人達が何人も加わってきています。ですから現時点で当園の飼育スタッフは、①若い衆②やや若い衆③やや若くない衆④若くない衆~が混然一体となって仕事をしているのです。
今回のガイド担当者である女性飼育員は、文句なく【若い衆】で、しかも例によって自身でのスポットガイドは初めて。しかし、色々な動物知識を豊富に持っているので、ガイド班・班長である私はあまり心配していませんでした。……が、いよいよガイド開始数分前の事。園内のあちこちからガイドスタッフが協力の為に集まって来る中、担当者もバタバタと最終準備に追われていました。ふと、通りかかったその顔を見ると……物凄く緊張している様子。赤くなったり青くなったりする、変な表現ですが【忙しい顔色】。元来、とても真面目な人なので、それを含めて新鮮な印象を受けましたが……多くの場数を踏み過ぎ、公私ともに緊張等、ほぼしなくなってしまったガイド班・班長は『おおっ!やはり人は緊張するとこうなるのだなっ!』と、不謹慎ながら感心?していました。…と言う様な事もありつつ、ガイドは開始されました。
当然ながら?、担当者の解説・説明の出だしの声は震えており、やや小さいものでしたが、展示してある鳥達を、展示室の端から順番に紹介していくうちに、しだいしだいにしっかりした大きな声になっていきました。
その様子を見ながら『おおっ!人はこうやって色々な事を乗り越えていくのだなっ!環境適応とか状況適応とか言う奴だなっ!(しつこいっ!!)』と同僚を観察している自分に気付き、改めて歳月を重ねてきたせいで、己れが失ってきた多くの大事な何かに思いを馳せました(悲)。
さて、とにかく、担当者の解説・説明は短時間で加速的に良くなって行くのに加え、その内容も鳥達に関するもの以外に、地球環境~特に熱帯雨林に対する環境破壊の実情を詳しく、そして判り易く参加者の皆さんに展開しました。 また、日本の野鳥達が……あのポピュラーな存在であるスズメでさえ、現在、どんどんその数を減少させていると言う事実を、とても理解し易い語り口で皆さんにお伝えしていました。
担当者の頑張りが、しっかり形になった、大変良いガイドであったと思います。
ZOOスポットガイド班長 長谷川 裕