でっきぶらし(News Paper)

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スポットガイドだより

《9月20日 ベネットアカクビワラビー》

 9月20日、13:30より、ベネットアカクビワラビーのスポットガイドを行いました。
 天気が良く、ガイド開始前から御待ちになってくださった親子連れの方々を中心に、約20名程の参加者に恵まれました。
 ガイドを行ったのは、ベテランの男性飼育員。ゆっくりとした口調で、ワラビーの生態や個体差・餌の種類等を丁寧に解説してくれました。加えて、普段は一般の人達はまず入れない飼育ブースに皆さんを御案内した事もあって、かなりの好評でした。
 さて、皆さんはワラビーを含むカンガルーの種類が、大きく3系統に分かれている事実を御存知でしょうか?実は、この3系統の御話をすると、人によっては『冗談だろう?』と苦笑する方もいるくらいで…簡単に、単刀直入に御説明しますね…大きいタイプがカンガルー・小さいタイプがワラビー…そして中間サイズを【ワラルー】と言います。要するに、カンガルーとワラビーを基準にした時に真ん中の大きさなので、ワラビーの【ワラ】とカンガルーの【ルー】を合わせて【ワラルー】と分類した様です。嘘みたいな本当の話です。
 あと、もう一つ、嘘みたいな話を御紹介します。
 完全な定説ではない様ですが、カンガルーの名前の由来について。…初めて外国人がオーストラリア大陸に上陸した時、自分の国には居ない奇妙な、ピョンピョン跳ねている動物を見て、『あれは何だ?』と先住民の方々に(アボリジニの人達でしょうね)尋ねたそうです。その問いに、先住民の方々は『カンガルー』と答えたそうです。しかし、この【カンガルー】という言葉は、彼らの言語で『判らない・知らない』という意味だったそうで……つまり【カンガルー】とは、当時のオーストラリア先住民の言葉を邦訳すれば『さあ?知らないねぇ?』とでも表現するのが妥当な言葉だったらしいのです。
 しかし外国人は、その『さあ?知らないねぇ?』を聞いて、それがその動物の名前だと思い込んで、カンガルーと呼ぶ様になってしまった…繰り返しますが完全な定説ではないにしても、昔からこんな話が伝わっています。
 この様な解説も御披露した為か、とても和やかで楽しいガイドになりました。
 担当者、非常に良いガイドでしたよ。

《10月18日 インコ類》

 10月18日、13:30より、ふれあい動物園で、インコ類のスポットガイドを行いました。
 今回のガイドの担当は(つまりインコ類の担当は)、今年の4月から当園勤務が始まった新人女性飼育員。色々な意味で熱意がある人の様で、今回のガイドもかなり以前から準備し、前日にもガイドの現場で予行練習をしていたそうです。
 こう言っては何ですが、新人飼育員の初回のガイドの時、私は密かに、ガイドが上手く進行する様に根回し?をしたりする事がありますが(一応、ガイド班の班長ですので…。いつも根回し?する訳ではありませんが)、今回はあんまりそれをしませんでした。放任していたのでは無く、何と言うか長年のカンみたいなもので、『この人は何とかなるんじゃないかなぁ』と漠然と思ったからです。
 さて、ガイド開始。前述した予感は当たりました。この新人さんは、インコ類について、明確な解説をしてくれました。もちろん予行練習の成果もあったのでしょうが、実に歯切れの良い解説だったので、私自身『おお、やるなぁ!』と思ったくらいです。ちなみに、インコ類(オウムも含まれます)は、御存知の方々のほうが多いでしょうが、いわゆる話す・喋ると表現されている鳥類です。しかし実際はオウム返しという表現がある様に、記憶した言語~正確には【音】を再現して発音する事が可能なだけで、言語そのものを理解している訳ではないようです。もっとも、けっこうタイミング良くその場の状況に合った言葉~【音】を発する事が多く、更に、記憶している【音】を聞くとそれに反応してその【音】を再現する傾向がある様で、この為、人間の方が会話が成立している様に錯覚してしまうのでしょうね(本当に彼らが会話可能な鳥類だと思っている人達は、意外に?多いです)。ちなみに、今回の担当者の解説の中で特に面白かったのは、当園のオウムを含むインコ類は、しつこく呼び掛けるよりも却って静かに見つめている方が沢山喋ってくれるそうです。
 あと、これは付け加えです。彼らインコ・オウムが、あくまで理論的にですが、ほぼ発音出来ないとされる【音】があります。それはパピプぺポとバビブベボです。何故なら、このパ行とバ行は唇を震わせて発音する音で、インコやオウムには唇が存在しない為、まず発音出来ません(ただし、定かではありませんが、特殊な個体では可能だった例もあるみたいですね。どうやって発音していたかは判りませんが)。
 とにかく、担当者、御疲れ様でした。凄く立派なガイドでしたよ。

飼育係 長谷川 裕

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