235号(2017年04月)6ページ
スポットガイドだより ★1月15日 熱帯鳥類館
やっと冬らしい寒さがやってきた1月の日曜日でしたが、熱帯鳥類館の中は年中ポカポカと過ごしやすく、暖を求めて(?)か、たくさんのお客さまがいらっしゃいました。
最初に紹介したのは熱帯鳥類館の中で最も体の大きいサイチョウです。その名のとおり、サイの角に似たカスクと呼ばれる突起がくちばしの上についている鳥です。このカスクはとても重そうに見えますが、中はスポンジ状の構造で軽くなっています。サイチョウは大きな翼ではばたいて飛ぶこともできますが、森の木々の間をピョンピョンとジャンプして移動することも得意で、展示室の中でもジャンプする姿を見ることができます。サイチョウについては当園の機関誌「ZOOしずおか」の82号でも特集していますので、そちらもぜひご覧ください(「ZOOしずおか」は園内で配布しています)。
次に、サイチョウと同じように大きなくちばしを持つオニオオハシのお話です。オニオオハシは、鳥類の中で体に対してくちばしのサイズが一番大きいと言われています。そんな大きなくちばしですが、先のほうはギザギザになっていて小さな餌をつまんで食べることができます。オニオオハシのくちばしも重そうに見えますが、中は空洞になっていて軽いです。またこのくちばしは、血管を通して体温を下げる役割もあります。当園には現在オス1羽が暮らしており、名前は「トコちゃん」といいます。「トコちゃん」という名前は、以前暮らしていた動物園でつけてもらい、オニオオハシの学名Ramphastos tocoか、英名Toco toucanからきたものと思われます。みなさんも「トコちゃん」、と呼んであげてくださいね。
その次はお隣のカンムリシロムクについて。カンムリシロムクはまっ白な体で目の周りは綺麗な青色になっており、大変美しい姿をした鳥です。インドネシアのバリ島にのみ生息する珍しい種類ですが、その美しさゆえにペットとして乱獲され、一時期は野生での生息数が10羽より少なくなってしまいました。現在は保護活動などがすすみ少し回復してきましたが、まだ絶滅の危機から脱していません。動物園でも繁殖が上手くいくように努力を続けていきたいと思っています。
最後にサイチョウにおやつのブドウをあげ、どのように食べるのか見ていただいて、スポットガイドをおわりにしました。まだ肌寒い日があるかと思いますが、そんなときはあたたかい熱帯鳥類館でのんびりしていってくださいね。
(飼育係 井上 志保)