26号(1982年04月)4ページ
ゾウのあまりゾーッとしない話(食事中は読まないで!)
(鈴木和明)
“ジャーッ”とかなり大きな音・・・
「ワーすごい。」「お母さん見て、川になって流れている。」「水道みたいネー。」「ワーッ・・・」これはなんのことはない、ゾウの“オシッコ”の時のおける、お客の語らいの1コマです。
ゾウ舎の前で観察をしていると、この音が聞こえてくるたびに、大きな歓声とどよめきがおこるのです。よく聞いていると、お客さんの数には関係なく、主に「ワーすごい。」次に「イヤー。」3番目に「水道みたい。」
お客さんは、「イヤー。」とか「きたないネー。」とか言っているわりに、顔はほころび、一大発見をしたかのような目で注目しています。“ウンコ”にしてもそうです。お客さんはすごく関心を示します。
ゾウ舎の前にいて、よく質問されることは、「ゾウは何を食べますか?」「どのくらい食べますか?」この2つが質問全体からみれば、3分の2以上になります。そして、この質問に対する答えは、「ゾウは、サツマイモ・ニンジン・ワラや干し草を食べますよ。」「1日40kgぐらい食べますよ。」こう答えたあと、「1日40kg食べてね、ウンコは80kgも出るんだよ。」とつけ加えると、ほとんどのお客さんは「エーッ!食べた倍も出るのー。」と目をまるくしておどろきます。「ヘェーッ!オレの体重よりも多いジャン。」あとは笑い・・・。最初の質問のことなどコロッとわすれ、ウンコの話に花を咲かせながら、次の動物に向かって歩いて行きます。
この“ウンコ”の話は、別にお客さんをビックリさせようとか、喜んでもらおうと思って言っているのではなく、しっかりしたデータにもとづいての事なのです。今年の1月20日から1月29日までの10日間の調査の結果、ダンボの場合、体重が約2300kg、1日の餌の量が41kg、ウンコの量は多い日で79.8kg、少ない日は55.2kg、平均が67.5kgでした。シャンティーは体重が約2300kg、餌は40kg、ウンコは多い日が96.4kg、少ない日で70kg、平均が83.3kgでした。ダンボは食べた量の1.6倍、シャンティーは2倍のウンコが出ます。これは消化し終わったカスが、かなり凝縮されて出てくる為だと思います。シャンティーの消化速度は、約1日半、36時間から40時間ぐらいです。
これから、ダンボもシャンティーもまだまだ大きくなります。と同時にウンコの量も・・・!ちなみに、1年間で2頭合計すると・・・な、なんと!55トンにもなるのです。4トン車で約14台分。これをそうじするのかと思うと、考えただけで腰が痛くなってきた。“ウンコにつぶされる夢を見そうだ!”