27号(1982年05月)5ページ
近況 〜オウサマペンギンの衣換え〜
(川村敏朗)
現在、オウサマペンギン3羽、マカロニペンギン3羽、フンボルトペンギン7羽を飼育展示しています。このうちオウサマペンギンが換羽しました。ペンギンは御承知のとうり鳥の仲間ですので、換毛ではなく換羽ですので、間違いのないように。
3羽いるうち、1羽は2月下旬から始まり、それにつられるように、ほかの2羽も3月中旬から換羽が始まりました。換羽の前、数日は目を見張るばかりの食欲の伸びが見られ、普段の餌量の2〜3倍ものアジを食べます。どちらかというとスリムな体つきが、日増しに太り、身体に栄養を貯え換羽に入っていきます。あれほどの食欲のあったペンギンが、ピタッと食べなくなります。他に、池に入らなくなる、体をぬらすのを嫌がる、動きも鈍くなる、ジッとしている時間が多くなる、体つきも羽根1本1本をうかすようにフワフワとした感じになるなどの、行動の変化が認められます。そして、翼の部分、尾羽根の付近からの換羽が始まります。換羽している時の様は、新しい羽根が下から出てきて、古い羽根が浮き上がってくるように見えます。換羽に要する期間は、抜け始めてから抜け終わるまでの約2週間位です。始めは少しずつ抜け、10日目頃からは1日で大量の羽根が抜け落ちます。この期間お客様の話を聞きますと、「換羽している」と言っている方が少なく、ほとんどの方が、「病気だ」「元気がない」と言っています。換羽は体力を消耗する、年に1度の過酷な行事です。そして、健康に生きている証でもあります。