27号(1982年05月)6ページ
野鳥 〜帰ってきたサギの仲間〜
(渡辺明夫)
3号で「サギ類の異変」について記載しましたが、その後変化がありましたので、お知らせします。
1月から2月にかけ、全く姿を消してしまったサギ類が、3月下旬から少しずつ戻ってきました。4月に入ると、その数も増しゴイサギでは前年の7〜8割、コサギは5割程度見られるようになりました。4月中旬には、それぞれ繁殖活動を始め、下旬には各巣で抱卵しているのが確認されています。アオサギも昨年と同じ場所に営巣を始めました。それとは別のアオサギも、もう1段高い杉の木に陣取っていますので、今年はうまくいきますと、2ペアで繁殖するかもしれません。これからも、よく観察を続けていきたいと思っております。
このように書きますと、何もなかったかのように思われますが、よく観察してみますと、以前とは様子が違うところもいくつか見られます。1つは、下の池にも見られたゴイサギがまだ見られないこと。もう1つは、上の池で営巣・休息等に利用していた南東側の竹林等に、あまり寄りつかなくなっているということです。
サギの仲間は、アオサギを筆頭として、警戒心が非常に強く、特に営巣地に対しては、慎重に選びます。不用意に営巣地に侵入することは、鳥に不安を与えることになり、たび重なると巣の放棄ということになります。営巣地の中に入らなくても、まわりに近づきすぎても、鳥に警戒心をおこさせます。又、周囲があまり開けて、ブラインド(目かくし)となるものがなくなると不安になり、近寄ってこなくなります。
今年も5月10日より1週間、バードウィークがありますが、野鳥愛護精神にそうよう、実のある実践を試みていくのが動物園に課せられた使命のひとつだと思います。
このサギのコロニーは、動物園にとっても貴重な財産といえますし、いわゆる天然記念物に指定してもおかしくない存在だと考えています。今回の異状を教訓にし、鳥達が安心してすごせる環境作りをし今後このような事がおきないよう気を付けていきたいと思います。