でっきぶらし(News Paper)

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マイホームジャック 〜スズメ対ツバメ〜

(鈴木和明)
皆さんこんにちは、私は“シャンティ”まだ13才の女の子です。エッ、「女の子には見えない。」って!やっぱりネ。私も気にしているのよ、“太り過ぎ”は。普通の女の子は減食しているのかしら・・・?私だって少しは考えて、カロリーの少ない繊維質の多い食物や野菜しか食べないのヨ!それに聞いて聞いて!1日1食でがまんしているの!それでもなぜか“太る”のよネェ。食べる量が問題なのかな?1日50kg食べるのでは!・・・“ん”?“なんだって”??「まるでゾウみたい。」だって。とんでもネー。「わたしゃー、ゾウなの!」
“アッ”そうそう今日は、別の話しなの。
皆さん『コシアカツバメ』知ってますか。普通のツバメより、少し大きくて、腰の上面が“レンガ”色したツバメなんだけど。知っているって、よかった。
このツバメが、毎年私の家に、そうゾウ舎のカベに土でマイホームを作っていたんだけど、最近見えなくなったの!エッ、なに?「お前が悪い。」だって。エヘヘ・・・まあネ。私にも少しは責任があるの。“なぜか”というと、ツバメさんが一生けん命、土を運んで巣を作るでしょ。もうすぐ完成だな、という時に、私の長い鼻で“ブッチ”とこわしてしまうの。するとツバメさんは、またその横に作の。そしてまたこわす。私はそれがおもしろくて・・・!“エッ”「ツバメさんがかわいそう。」エエ、今思うとずいぶん悪いことをしたなーと、反省しています。「ごめんなさい。」でも、ツバメさんが来なくなった理由は、まだ他にもあるのよ。
それは、スズメさんのせいなの。このスズメさんは、私以上に悪いことをするのよ。ツバメさんも、頭を使ってだんだん私の鼻の届かない所に巣を作り始めたの。最初は、夫婦交代で土を運び、まず土台を作の。3分の2程出来上がったころ、私はスズメの夫婦が近くに来て、ツバメさんが巣作りしているをジィーと見ているのに気付いたのです。そして、もうすぐ巣が完成するころに、スズメ夫婦は、ツバメ夫婦が2羽共、土運びに出たほんのチョットしたスキに、なんと巣の中に入ってしまったのです。そこに、ツバメさんが口いっぱいに土を運んできて、最後の仕上げをしようと、巣にとまったとたん、中からスズメさんが出て来て、ツバメさんをおどかすのです。ビックリしたのは、ツバメさんです。運んで来た土は落とすし、巣からは飛びのくし・・・!しばらくは巣の回りを飛んでいたのですが、落ち着きを取り戻して、夫婦かわるがわる巣の入口まで行って、グジュー、グジューとなにやら説得を続けていましたが、スズメの方は、ガンとしてゆずらず、ツバメが近づいてくると、入口から半分体をのり出して、口をいっぱいに開けて、ツバメを追い浮、のです。
こうしている内に、スズメの方は1羽が巣から飛び出て、どこからか巣材のワラを運び出しました。残った1羽は、ツバメをおどかし続けています。こうして、ついに巣の中はワラでいっぱいになり、ツバメのマイホームを乗っ取ってしまったのです。
あわれなのは、ツバメさん。私にはこわされるし、やっとこわされないですむと思ったら、今度はスズメに乗っ取られてしまうし。それでも、ツバメさんはエライ!“人間”いや“ツバメ”ができているというか、また別な所に最初から作り始めたのです。何日かして、苦労の末、やっと新しいマイホームが完成しました。そして、夫婦の愛の結晶の卵を落ち着いて抱ける、平和な日々が続きました。間もなく、巣の中から可愛いヒナの声が聞かれるようになり、親ツバメたちは、またいそがしい毎日になりました。朝早くから、夕方暗くなるまで子供のために、一生けん命餌の虫を運んで来るのです。子供も大きくなると、もう交代では間に合わなくなり、2羽共巣から飛び立ち、入れ代わり、立ち代り子供の口に餌を運びます。
ちょうどそのころ、また別なスズメの夫婦が来て、ツバメさんの巣のまわりをウロチョロしはじめました。ツバメさん達も気にしている様子でしたが、子供を育てるのが忙しくて、スズメなんかのかまっていられないといった様子で、無視していました。
スズメ夫婦は、それをいいことに2羽共飛び立つのを確認して、子供しか残っていない巣に入っていくではありませんか。中の子供は、親が帰ってきたと思ったのか?ピーピーと大きな声で鳴いていましたが、様子が違うためか、すぐに鳴きやみました。そしてすぐ後、とんでもない事がおこったのです。
やっと羽根の生えてきた程度のツバメの子供が巣の入口に見えたと思ったら、真逆さまに落ちるではありませんか。最初の子供が、地面につくかつかない間に、次の子供が中から押し出されるように、また落ちてきました。“アッ”3羽、また4羽目・・・!
なんと、あろうことか。スズメ夫婦が、親ツバメが餌をさがしに行っている間に、中の子供を外に追い出して、またもや巣の乗っ取りを計ったのです。
私も、お客さんに水をかけたり、力まかせに物をこわしたり、そうとういたずら好きの方ですが、、これにはビックリしました。
しばらくして、親ツバメが餌をくわえて、もどってくると例のごとく、巣の中からおどかして追い浮、のです。親鳥は、何回も何回も巣にもどり、中に入ろうとしましたが、やっと中に子供がいない事を知ると、どこかに消えていなくなってしまいました。
その後、私の家、そうゾウ舎付近では、コシアカツバメの姿は見られなくなってしまいました。それからというものは、ツバメの巣で毎年、スズメが子供を育てています。
今度、ゾウ舎の近くにこられたら、家の上の方を見て下さい。ツバメの巣の入口からワラのかたまりが見えるはずです。しばらく見上げていると、にくらしいスズメの出入りしている姿も見られます。

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