36号(1983年11月)1ページ
飼育実習を終えて 日本動植物専門学院 片山あつ子
以前から私は、動物園の飼育係になりたいと思っていた。そこで、一度経験してみたくて(実際に動物に触れてみたいという気持ちの方が強かったのだが・・・)飼育実習を希望した。
実習期間は8月1日から20日までだが、実際には17日間である。実習中は、毎日仕事に慣れるのに必死で、一日がとても短く感じられた。前半の9日間は動物病院。後半の8日間は大型草食動物(ゾウ、キリン、バイソン)を実習した。
動物病院での実習は、あまり見る機会のない解剖が見られたり、治療について行った先々で担当の飼育係の方々に、学校では学ぶことのできない話をうかがうことができて、いろいろ勉強になった。動物病院は、私の描いていたイメージとちがって、ただ病気の動物が入院しているだけではなく、野生動物が保護収容された動物なども入っていることを知った。でも、健康な動物も入っているというのは、なんだか複雑な気がした。
それから、動物の病気が、表面的なものは発見しやすいが、内臓的なものはなかなか発見しにくいという。これは、動物の本能だと聞いたが、やはり動物園に飼育されていても、ペットや家畜とはちがい、あくまでも身を守る野生の本能は、なくならないんだと思った。
それは、大型草食動物の飼育実習をしていた時にもいえる事だった。大型動物であるだけに飼育担当者は、常に危険に備える心構えが必要で、細心の注意をはらいながら仕事をしているのが感じられた。でも、小さい頃から愛情を注いで世話をしてきても、動物がそれに応えてくれないというのは、とてもさびしいことだと思う。
夏の暑い中の実習は、思ったより重労働だったけれど、念願だった動物に触れることができて感激だった。この重要な体験で、新たに動物に一歩近づけた感じがした。この実習によって、私は今までとはちがった目で動物園を見ているような気がする。
最後に実習中たいへんお世話になった飼育課の皆さんには、心から感謝しています。