でっきぶらし(News Paper)

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動物の仕草・動作あれこれ?U(類人猿編)【笑うのは…】

 「笑う」と言う感情表現は、相当に高度に発達した感情のなせる業と解していいでしょう。私達の“専売特許”と言えなくもありませんがそう結論づけるのに待ったをかけるのが類人猿、その中のチンパンジーです。大人になってしまうと笑わなくなりますが、子供の内は実によく笑います。
 彼ら同士の遊びの中で悦に入ってくると、私達の「アッハッハッハ」とは少し違いますが、「ハハハハハ、ハハハハハ」と低い声が喉元から漏れ出てきます。
 私達と一緒に遊んでも、やはり悦に入ってくると笑います。特に高い高いなんてやってやれば最高、笑いの表現はこれ以上はないまで達します。但しひとつ条件、彼らとの間にしっかりとした信頼関係があってこそ示してくれる“仕草”であることです。
 ヒト以外で笑うのはチンパンジーだけ、昔どの本だったかそう書いてあったように思います。しかし、ゴリラのトト(メス)と接していて、無論幼少時での話ですが、あれっ、ゴリラも笑うぞ、と思ったことがあります。
 当時、ゴロン(オス)の体格が大き過ぎて遊び相手になり得ず、緊急避難の措置として体格的にはむしろやや劣っているオランウータンと一緒にさせていた時のことです。
 次第に気の合うようになったオスのケンと遊びの中で最高の気分になっていると思える頃、チンパンジーほどではないにしろ「ハハハハハ」と低い“笑い声”が漏れ出てくるのです。顔の表情はオランウータン共々、それは笑いの表現そのものでした。
 ゴリラも笑う、オランウータンもそれに近いものがある、その時にはつくづく思いました。ただ残念なのは、やむを得ない時の流れと言うか、成長するに従って“笑う”表現は乏しくなり、実際に大人になるとそれは全く見られなくなってしまったことです。

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