124号(1998年07月)3ページ
あらかると 「正妻の座」
チンパンジーのピーチ、ヨシミのメス2頭はオスのカムイのNO.1の妻の座をかけて奮闘中です。今のところヨシミが一歩リードし、当園生え抜きのピーチは少し遅れをとっています。
カムイは来園時、ピーチとその母親に少しいじめられ、その記憶が少しピーチを嫌わせているのかもしれません。
ピーチは当園で少数の群で育ったためか、少しわがままなようです。人間社会でいうところの、お世辞や愛想の言えない不器用な面があります。
その反面ヨシミは大きな群の中でもまれて育ったためか、世渡り上手な面を持ち、カムイに取り入るのがうまく(担当者や代番の私にもですが)、すぐに受入れられました。
2頭は同年齢でほぼ同時期に初潮を迎え、発情が来ました。最初の頃ヨシミに発情がきてカムイが交尾しようとすると、ピーチが邪魔に入りました。
ピーチに発情がきてカムイが交尾しようとすると、今度はヨシミが邪魔に、です。2頭は時々カムイの怒りをかっていました。回数が多いのはピーチの方でした。
どちらがカムイのお気に入りか、同時に発情がくるとそれははっきりとわかります。ピーチ、ヨシミはカムイに近づきお尻を見せると、カムイはピーチのお尻にはチラッと目をやるだけで、ヨシミとはすぐに交尾します。その後にまたピーチが近づくと、仕方がないという感じで交尾します。
しかし妊娠したのはピーチが先で、ヨシミは少し遅れての妊娠でした。従って出産もピーチが先でしたが、残念ながら自分の手で育てられず人工哺育となりました。
一ヶ月程の遅れでヨシミが妊娠、こちらは自分で育てています。(子はどちらもメスでした。)子育ての面でも、ピーチはヨシミに先を越されました。
私としては、生え抜きのピーチにエールを送っているのですが、ピーチはヨシミに追い越せる逆転の日は果たしてあるのでしょうか。
(池ヶ谷正志)