125号(1998年09月)4ページ
あらかると 「待望のお婿さん アメリカよりやって来る」
10月2日、待望のマサイキリンのオスが遠路はるばるアメリカのカンサス州カンサス市動物園よりやって来ました。
当園で生まれ、飼育係の手によって育てられ、人なつっこく人気者だったオスの「シロウ」が亡くなってからこの一年、ずっとひとりぼっちで毎日寂しげにしていたメスの「キッコ」でしたが、仲間が来てからは嬉しくて仕方がない感じで、食欲も以前のように大変旺盛になってきました。
アメリカから新しくやってきたお婿さんは1996年7月6日生まれで現在2才4ヶ月、仮に人間で例えたならまだ小学生位ではないかと思われますが、それでも身長は3メートルくらいあります。メスのキッコと比べてしまうと、キッコが4メートル50センチくらいありますので、親子のように見えてしまいます。
それでは、どうやって日本まで来たかといいますと、木の箱に入って飛行機に乗ってやって来ました。人間では“箱入り娘”なんていいますが、まさに“箱入り婿様”の状態です。来園したのは9月17日で、まず横浜の検疫所(病気を持っていないか検査する所)で2週間飼育され、そこからトラックに乗って静岡にやってきました。なぜアメリカという遠い所からお婿さんをもらったかというと、はじめ日本国内でどこかいいお婿さんがいないか探したのですが見つからず、そこで海外の動物園からやって来ることになった訳です。それと日本の動物園でマサイキリンは現在40頭ほど飼育されていますが、わりと血縁関係が濃いので、はるばるアメリカからやって来た新しいオスは日本のマサイキリンにとっても大変貴重な存在なわけです。
立派な大人になるにはあと3、4年はかかると思われますが、先代シロウが1988年に生まれたのを最後に、当園ではキリンの繁殖が止まってしまっていますので、メスのキッコとの間に数?かわいい赤ちゃんが生まれることを願っています。
ちなみにキッコ(九州・宮崎県出身)は現在10才で、人間で言うならば20才後半くらいかと思われます。ちょっと年上のお姉さん女房ではございますが、まだ幼い旦那様を毎日よく面倒をみてあげています。世話好き女房に頼りきっているようにも見うけられますが、ある時キッコが何かに驚いてあわてて走り回っていたときなど案外落ち着いていて、いざという時には物事に動じないシンの強さを持っているなと思いました。担当者にも似ているなとも思いました。
2人の相性はまずまずと思われますので、数年後に2世誕生のニュースを皆様にお伝えできますよう願っております。どうか皆様この国際カップルを暖かく見守ってあげてください。
(追伸:お婿さんの名前は現在公募しています。どんな名前になるのかな?)
(松永享)