112号(1996年07月)7ページ
あらかると 「オランウータン ベリーのダイエット」
人の世は、ただいまダイエットブームです。それに便乗した訳でもありませんが、オランウータンのメス、ベリーも今ダイエットに入っています。
一般によく言われる、妊娠、出産で増えた体重が元に戻らず、増え続ける悪いパターンです。ベリーも全くその通りで、妊娠前は68kgとちょうどいい体重を維持していたのですが・・・・。
妊娠が進むにつれて、餌は増量していないのに体重が増え始めました。まあ、お腹の子が大きくなるのですから、不思議ではないのですが、出産してもその体重が減るわけでもなく、それどころかその後も増え続けてついに76kgにまで達してしまいました。
いくら担当者がトランジスターグラマーが好みだからと言っても、もう放っておく訳にはゆきません。次の妊娠に向かって、太りすぎは禁物です。成人病も心配、適度な体重の維持は担当者の責任でもあります。
そこで、ダイエットの開始です。朝、夕の食事の中から、バナナ、パインを抜いて1ヶ月後、やったあ3kgも減量できたのです。この調子でゆけば、3ヶ月も経てば妊娠前の体重に戻せると思ったのですが、甘い甘いもくろみでした。
ヒトの世界でも、最初の1ヶ月で2、3kgは簡単に減らせるといいますが、全くその通りの経過です。2ヶ月後には逆に250g増となり、ダイエットのむずかしさを改めて噛みしめました。
オスに与えるバナナをうらめしそうに見つめ、その味を忘れて数ヶ月を経ながらも体重は元に戻らず、73kg辺りをいったりきたりです。
リンゴ、オレンジも少し減らし、キャベツで空腹を癒している毎日ですが、世の女性方の苦労が忍ばれます。ダイエットはむずかしいものです。ありのままの姿がいちばん美しいのだと開き直られる気持ち、分かるような気がします。
(池ヶ谷正志)