105号(1995年05月)10ページ
あらかると 「自動給餌器できあがり」
当園の動物達は身近に見られていいと、来園される皆様からの声を聞きます。熱帯鳥類館の中に、ルリコノハドリ、ミドリヒロハシ、コウラウン、ホウオウジャクといった色とりどりの鳥達が来園者の頭上を飛びかい、鳥のさえずりが身近に聞こえるジャングル展示室があります。この部屋では、ガラスやオリ越しではなく、鳥達を直接見ることができるようになっています。
この展示室に昨年 に横浜市野毛山動物園よりカンムリシロムクが一ペア来園しました。以前二ペアいたのですが、残念ながら繁殖には結びつきませんでした。
カンムリシロムクは絶滅に瀕して国際登録されている鳥で、国内でも繁殖計画が検討され、その計画に基づいて当園に来園したのです。
このジャングル展示室は、いろいろな鳥達が飛び交って、見るにはいいのですが、鳥達のトラブルが必ずつきまとい、頭が痛い問題がおきてきます。そんな中で、いかに繁殖に結びつけることができるか、ここが飼育係の喜びにつながるのです。
さて、さきほどお話したカンムリシロムクをなんとかふやしたいと、ジャングル展示室で彼らの行動を観察していると、彼らがよく休んでいる止まり木があることがわかりました。そこでその近くに巣箱を設置してみることにしました。
すると、うれしいことに彼らはこの巣箱が気に入ったらしく、5月8日頃より巣箱の中に入っていることが多くなり、そして5月22日卵の殻が下に落ちており、その後オスとメスが交代で餌を運んでいる様子が観察され、ヒナの元気な声も確認することができました。
さて、このヒナがなんとか巣立ってくれるまで、どうしていこうか思案しました。鳥達のトラブルは、親鳥がヒナに餌を与えようと取りにゆきそれをじゃまされたり、餌の不足などから他の鳥がやられてしまうことが多いのです。そこで、図に示す自動給餌器を考案してみました。何ヶ所か改良した結果、うまくゆき、6月15日無事巣立ちにこぎつけたのです。一度ジャングル展示室をのぞいてみてください。
(清水定夫)