でっきぶらし(News Paper)

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日本平の好記録・珍記録 〜 ホンシュウシカ 〜

毎年、ごく普通に生れる為、あまり気にしていなかった動物でも、そのデータを整理してみると。「アッ!」と驚くような発見をすることがあります。それがこのホンシュウシカです。
日本平でのこのシカの歴史は、1969年の開園時に入れたメス1頭と、翌年入ったオス1頭メス1頭の3頭から始まりました。そして現在に至るまでの25年間、この3頭の子孫が、新しい血が入ることなく続いているのです。
最初の繁殖は1971年でした。それ以来1993年までの22年間、毎年繁殖し、生まれた子は合計で69頭です。性別はオス37頭、メス32頭です。この内、半年以内に死亡した子はわずかに5頭。何と生存率93%という好成績です。
さらに、ここ17年間では、生まれた49頭の内、生後6ヶ月ちょっとで死んだ1頭以外、全て育つという快挙です。これはもう好記録以外の何者でもありません。近親交配だと新生児死亡率が高くなると言われていますが、当園のシカにはあまり関係ないようです。
さて、69頭の子供の生まれた月を調べてみると、5月20頭、6月33頭、7月11頭、8月4頭、10月1頭となっています。10月というのは例外ですが、最近、出産月が少し遅くなっているように感じます。
では、この繁殖に関係した親についてですが、まずオスでは3頭です。下の表のとおりです。

<No.> <出生(来園)〜死亡年月日> <ボス在任期間>
初代目 1970.5.15(来) 〜 1977.8.13(死亡) 約6年間
2代目 1973.7.19(生) 〜 1990.12.6(死亡) 約13年間
3代目 1988.5.10(生) 〜 生存中 約4年間

この中では2代目ボスが安定しており、殆ど毎年4頭のメスに4頭の子を生ませていました。
次にメス親です。現在残っている3頭のメスは、1971年、1973年、1974年生れです。すなわち20、21、23才という高齢なのです。ニホンシカの長寿記録では、25年5ヶ月というワシントン動物園の記録があり、他の種類のシカでも、25〜26年というのが最長です。さすがここ数年、生まれる数が減ってはきていますが、昨年はこの3頭全部が生んでおり、高齢出産世界一ではないかと思われます。
こんなに成績のいい理由のひとつには、常に数をコントロールしていた事があげられると思います。何しろ放飼場が狭い為、生まれた子は1年を待たず、翌年の繁殖期前に、動物商や近くのシカ牧場に引き取ってもらっています。この事はむやみな闘争を防ぎ、かつ安定した群として、子育てに専念できたからと考える事ができます。
これから、どれくらい生み続け、生き続けられるか、とても楽しみです。
(三宅隆)

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