201号(2011年08月)1ページ
は虫類館の新顔
夏が来ました。日本平動物園は小高い有度山丘陵にあって海岸にも近く、静岡市中心街と比べると気候が少しさわやかな場所ですが、やはり真夏の暑さはそれなりです。
今年、東海地方は7月8日に梅雨が明けました。すでに梅雨明けまえの6月中に静岡県は35度以上の猛暑日を何度も記録しました。夏の電力不足対策で、動物園も節電に努めています。
さて、日本平動物は今年度も再整備のため、旧施設の解体と新築が続きます。
動物園の正門を入ったところに新しくレッサーパンダ舎、ビジターセンター、ペンギン舎が造られる予定です。建設地では、6月末から旧施設のフラミンゴ池、ペンギンプール、アシカプールの取り壊し作業が始まりました。
フラミンゴ達はすでにフライングメガドームに引っ越していましたが、フンボルトペンギン達の引っ越しは6月27日に行われました。ペンギンたちは新しい施設が出来るまでバックヤード棟という仮のすみかで、ちょっと窮屈な生活をすることになります。しばらくフンボルトペンギンには会うことが出来なくなります。早く新しいペンギン舎が出来上がるといいですね。
5月24日にオープンしたは虫類館には、旧爬虫類館から引っ越してきた動物のほかに、何種類かの動物たちが新しく仲間になりました。
6月21日には札幌の円山動物園からアカアシガメとキアシガメです。どちらも南アメリカにすむリクガメの仲間です。アカアシガメは甲らの長さは40〜50cmくらいになるカメで、アルゼンチン北部、ガイアナ、コロンビア、スリナム、パナマ南東部の草原や林縁に住んでいます。頭部や前あしには赤〜橙色のまだら模様が入っていて、それがこのカメの名前の由来になっています。甲らはキアシガメに比べて黒っぽい色をしています。
キアシガメは最大で甲らの長さ80cmにもなるリクガメでやはり南米北部に住んでいます。生息環境は多雨林内です。甲らは褐色から暗褐色で、甲らのうしろの縁はのこぎりのように少しギザギザしています。前あしには黄色い斑紋が入っていることが名前の由来です。
この2種は、は虫類館1階中央のリクガメの展示室で、アルダブラゾウガメ、ケヅメリクガメなどと一緒に歩いている姿を見ることができます。
は虫類館の出口付近には、日本の里山にすむ両生類・は虫類の展示コーナーができました。渓流の生息環境を模したオオサンショウウオの池の反対側には皆さんにもおなじみのヘビやカナヘビ、ヤモリ、イモリなどがいます。
ここに展示されているオカダトカゲは伊豆大島からやってきました。オカダトカゲは伊豆半島、伊豆諸島に生息するトカゲの仲間で、普段よく見かけるニホントカゲとは成体の姿かたちはあまりかわりませんが別の種類です。
同じく伊豆大島からやってきたカラスヘビは全身真っ黒で、見た目はずいぶん違いますがいっしょに展示されているシマヘビと同じ種類です。これを黒化型といいます。哺乳類のヒョウやジャガーに黒ヒョウや黒いジャガーがいるように、シマヘビの黒化型であるカラスヘビもときどき見ることができます。ところが伊豆大島では島内のシマヘビはすべてカラスヘビだそうです。不思議ですね。
動物病院 菅野 展美