204号(2012年02月)1ページ
辰年とドラゴン
今年は辰(たつ)年です。干支(えと)の辰は草木が伸びて整った様子を表すそうです。
辰・龍(竜)は十二支のなかで唯一架空の動物なので、干支にちなんだ動物を動物園や水族館で紹介する時は、名前に竜(またはドラゴン)に関する言葉が入ったものを展示するのが恒例になっています。水族館ではよく、タツノオトシゴが展示されます。
日本の竜は昔話のなかで時には人に祟りを及ぼすこともありますが、昇り竜など縁起が良いものの象徴として考えられることが多いですね。これに対して西洋のドラゴンは人間に災いをもたらす存在であることが多いようです。
動物園で展示される動物のなかで、竜(ドラゴン)の名前が付くものには有名なところではコモドドラゴン(コモドオオトカゲ)があります。全長3メートルにもなる巨大なオオトカゲですが、残念ながら日本平動物園にはいません。
日本平動物園で竜にちなんだ名前を持つ動物はいるでしょうか。いました、いました。は虫類館にいるインドシナウォータードラゴンです。
インドシナウォータードラゴンは名前のとおり東南アジアのインドシナ半島が主な生息地です。全長は60cmから90cmくらいになります。体色は緑色でしっぽは長くてしま模様があります。川辺の林に住んでいて、驚くと水に飛び込んで逃げます。また、地上を逃げる時は上半身を持ち上げ、後足だけで走ることができます。
恐竜を彷彿とさせるその姿かたちは、背中に翼を生やしたらまさに西洋のドラゴンですが、今年は運が上向くように、縁起のいい東洋の竜をイメージしてインドシナウォータードラゴンの勇姿を、は虫類館に見に来てください。
さて、昨年の12月8日には、南米産の小型サル、ピグミーマーモセットのメスが甲府市の遊亀公園附属動物園に出園しました。同園には2009年にレッサーパンダのメス「クウ」がお嫁入りしています。ピグミーマーモセットも甲府市のオスとペアを組んでの繁殖が待たれます。
8月18日にタイから来園したメスのホッキョクグマのバニラは、猛獣館の部屋にも慣れて、屋内展示場で来園者のみなさんに愛嬌をふりまいています。昨年の暮れにはオスのロッシーと窓格子ごしのお見合いを繰り返してきました。初めのうちは、あまりロッシーに気が無さそうなそぶりのバニラでしたが、徐々にロッシーと格子越しのコミュニケーションを取るようになりました。鼻を突き合わせたり、ロッシーが口にくわえて持ってきたエサの馬肉を格子越しに受取って食べたりと、とても良い雰囲気の2頭です。
そこで年明けの1月初旬から、いよいよ2頭の同居訓練を始めることになりました。
野生下ではふだん単独生活のホッキョクグマですので、初めて同じ部屋に入れて2頭一緒にするのは動物園のスタッフにとって、緊張の一瞬です。でもロッシーは昨年の11月で4才、バニラは2月10日に3才になったばかりという若い2頭のことです。みなさんがこの紙面を目にするころには、猛獣館の運動場で、ロッシーといっしょに仲良くプールに飛び込んで遊んでいるバニラの姿が見られることと思います。
動物病院担当 菅野 展美