245号(2018年12月)4ページ
飼育員しか知らないフタユビナマケモノ
夜行性館では現在3頭のフタユビナマケモノが生活しています。オスの「タマチン」は2008年8月千葉市動物公園生まれ、メスの「ハナ」は2011年1月東山動植物園生まれ、そして2018年7月に待望の仔が誕生しました。野生での生態はインターネットで簡単に調べられる現代社会、今回は飼育員しか知らないレアなフタユビナマケモノを紹介したいと思います。
①餌は何を食べているの、量はどれくらい?
樹上で生活するナマケモノ、当然手に入る食物も限られるわけで野生では樹葉、果実、体に生えた苔などを採食しています。動物園では青菜、白菜、キャベツ、サツマイモ、ニンジン、リンゴを天井からつるして与えています。餌の量は野生では1日8~15gとインターネットでは書かれていますが、当園では700gほどをつるして与え1/2~1/3採食、つまり230~350gは採食しています(もちろん肥満などなっておりません)。
②ウンチはいつも同じ場所
ほぼ1週間ごとに地上に降りて毎回同じ場所でウンチをします。オスのタマチンは中央か左の木の枝につかまり、お尻を地面につけてします。メスのハナちゃんは中央の木の幹につかまり腹ばいになり、奥の壁にお尻をつけてします。子供はハナちゃんの横腹にしがみつきお尻を地面につけてします。ウンチの瞬間お尻を「クイックイッ」と降る仕草がとてもかわいいのですが、なにせ週一回のことです。自分も今までに2回しか遭遇していません。
③シンクロナイズド・ウンチ
同じ場所でうんちするナマケモノ、それだけでなくタマチンとハナちゃん、実は同じ日にウンチをするんです。以前ラッキーにもその瞬間に遭遇した時のことです。一足先に用を足し終えたハナちゃん、まだ力んでいるタマチンと観察する私の間に割って入り、なんと両手を上げ、口を開けてタマチンを守ろうと威嚇してきました。そしてタマチンの用が済んだ後は見たこともないスピードで、2頭同時に木を登って行きました。なんて仲が良いでしょうか(愛)。最近はこれに子供もシンクロして、遂に3頭でシンクロナイズドスイミングならぬ、「シンクロナイズドうんち」しております。
④鳴き声
成長するとまず鳴かないナマケモノですが、子供の時は可愛い声を聴かせてくれます。とはいえ紙面では伝えることが難しいですね、貴重な可愛い声に興味のある方は是非、Twitterでご視聴ください(2018年9月8日投稿、【フタユビナマケモノ赤ちゃん情報】#日本平動物園#フタユビナマケモノ)。
(河村 茂保)