246号(2019年02月)11ページ
スポットガイド 猛禽舎
12月16日・13:30より、猛禽舎で当園恒例のZOOスポットガイドを行いました。当園では3種類の猛禽(アンデスコンドル・ヒゲワシ・ハクトウワシ)を飼育していますが、現在諸事情によりハクトウワシは展示休止中の為、今回はヒゲワシとアンデスコンドルについてガイドを行いました。
さて、御存知の方も多い話ですが、日本平動物園で飼育しているヒゲワシ、実は日本国内で飼育しているのは当園に居る1羽のみで、あとはどこにも居ません。非常に貴重な鳥で、おそらく原産国はもう、どんな形であれ二度と日本に向けて【出して】くれないと思います。現在いる当園のヒゲワシはメスで、最初来園した時はオス・メス2羽だったのですが、来園して2年程でオスが死んでしまった為、それから彼女は何十年も独りで暮らしています。人間に換算すると100歳前後の高齢ですが、とても元気で、臆病ですが温厚な性格をしています。
そして、アンデスコンドル。皆さんは、コンドルと聞くと何やら雄大なイメージを思い浮かべるそうですが、本物のコンドル、特にアンデスコンドルはある意味、そのイメージからほど遠い存在です。
実際の彼らは、狩りが殆ど(と言うよりほぼ全く)出来ません。その大きな理由はふたつ…彼らは体が大きく重く、地上に降りてしまうと非常に動きが遅い…これは単純な、物理的な問題で、平均体重が15kgもあるからです。ですから彼らは地上ではあまり早く動けず、更に重すぎるので自力で空に舞い上がる事もほぼ出来ません。強い上昇気流がないと、空に上れないのです。加えて、彼らは物を握れません。肢の構造上、絶対にガッシリと物を掴めないのです。要するにアンデスコンドルは①狩りが出来ない。②物が握れない③自分の力だけでは身体が重すぎて舞い上がれない④結局、飛べない。そう、アンデスコンドルは【飛べない】。つまり【コンドルは飛んでいない】のです。このような裏?情報を取り混ぜた内容のガイドに、お客様は驚いたり口をポカンと開けたりしていました。なかなか面白いスポットガイドになったのではと思います。
(長谷川 裕)