でっきぶらし(News Paper)

« 264号の4ページへ264号の6ページへ »

「ジャガーの 赤ちゃん誕生!」

当園初となるジャガーの赤ちゃんが誕生しました!今回は出産までの小梅の様子をお伝えします。

これまで雄の卯月小助とお見合いをして、昨年6月と8月に放飼場での同居を行いました。小梅に発情兆候が見られなくなったため、10月頃から出産に向けて準備をしました。ネコ科の動物は出産のときに神経質になることが多く、母親が安心できる環境を作らないと、せっかく生まれたこどもを殺してしまうこともあるため、なるべく暗くて静かな環境を作ることが大切です。小梅が安心して出産と子育てに取り組めるように、日が差して眩しい寝室に目張り板を設置し、産室には巣箱を設置しました。小梅の様子がわかるように、寝室と産室の天井、巣箱の天井にカメラを取り付けました。

ジャガーの妊娠期間は100日前後。出産予定日の2週間前から小梅に寝室と産室に慣れてもらう練習を始めました。フリーにした初日、お転婆娘の小梅は早速やってくれました。朝来てみると、なんと大人2人で産室の隅に運び入れた巣箱がど真ん中まで動かしてあります。ビデオで確認してみると、最初は巣箱の周りを歩いたり、巣箱の横で寝たりしていたのですが、明け方に巣箱の板を引っ張って動かしていました。巣箱カメラのコードも産室の中まで伸びてしまっています。これではすぐに破壊されてしまうので、巣箱をボルトで固定し、今度こそ準備完了!と思いきやまたもや事件が。ビデオには初日と同じ板の部分をどうにかして引っ張ろうと意気込む小梅が映っていました。結局板を引っ張るのはやめず、巣箱は壁がなくなってしまったので、もっと分厚い板に付け替えました。さらに寝室の目張り板も取り付けてから10分くらいで結束バンドを上手に外して遊び道具にしていました。後日、針金で付け直しましたが、器用に引っ張って針金部分も3分の1くらい外してしまいました。外れた針金は危ないので回収し、板が落ちてこないから「もうこれでいいか。」と妥協せざるを得ません。

結局、小梅に破壊されない巣箱を設置できたのが出産予定日の2日前。1か月以上前から取り組んだ準備でしたが、一筋縄ではいかず、直前になってしまいました。そして出産直前なのに、こんなに激しく遊ぶ小梅を見て、本当に妊娠しているのかな?もし妊娠していても生まれたこどもをおもちゃにしてしまうのでは!?と不安な気持ちでいっぱいでした。ネコ科には偽妊娠といって、妊娠していなくても食欲が増してお腹が大きくなったり、お乳が張ったりする妊娠兆候が現れることがあります。小梅も食欲は1か月くらい前から爆発していましたが、もともとスリムなせいか、お腹とお乳の張りは、そんな気もするといったところでした。

国内のジャガーは雌が少なく、お嫁さんを心待ちにしている雄がたくさんいます。どちらが生まれても嬉しいですが、もしも雌が生まれれば、お嫁さんとしてぜひ来てほしい!と声がかかるでしょう。そこで小梅に「女の子2頭いるよね!黄色と黒両方いるといいなー、ちゃんと大事に育ててね!」と話しかけること数日。11月26日、出産予定日から4日後、ついに双子の赤ちゃんが生まれました!偶然ですが、私がお願いしたとおり、黄色と黒でどっちも雌。小梅は1頭目が生まれるとすぐに体を舐めてあげて、授乳もしっかりできていました。2頭目は1頭目が生まれてから3時間以上後に生まれてきましたがこちらもきちんと舐めて授乳も確認できました。前日までのお転婆っぷりが嘘のようでした。

小梅、よく頑張りました、ありがとう。今後の赤ちゃんの成長が楽しみです。

(大谷 舞)

« 264号の4ページへ264号の6ページへ »