でっきぶらし(News Paper)

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病院の鳥たち

 皆さんこんにちは!動物病院係の渡邉です。去年の3月までふれあい動物園にいましたが、今年度から動物病院に異動になりました。ふれあいでは、来園者の様子や他の飼育員の動きを見て時間の流れを感じていましたが、今はそれがありません。ふれあい動物園と動物病院のギャップを感じつつ仕事をしています。今回の病院だよりでは、動物病院で生活している2羽の鳥について書きたいと思います。

 まず紹介する個体はアカコンゴウインコの『ギャーコ♀』です。ギャーコはワシントン条約違反で保護され当園にやってきました。アカコンゴウインコと言えば、ふれあい動物園にいる『コンゴウサン♂』と同じ種類になります。見た目が美しく、パワフルな声で鳴きます。嘴は硬く、噛む力もとても強い種類になります。ふれあい1年目の時はコンゴウサンに手差しで餌を与えようとし、何回か出血したものです。さて、ギャーコに話を戻しましょう。ギャーコはとても人懐っこく撫でられることが大好きです。ひまわりの種を差し出しても噛んでくることはありません。異動して最初の頃はその人懐っこさに少し動揺したものです。「ギャーちゃんおはよう~」と朝声をかけると反応してくれます。耳の近くを指で掻かれるのが気持ちいいらしく、掻くとうっとりとした表情でこちらを見てきます。ギャーコに構っているとついつい時間の流れを忘れてしまいます。

 次に紹介する個体はフンボルトペンギンの『シズク♀』です。シズクは元々他のペンギン達と生活していましたが、群れで孤立してしまったため病院にやってきました。シズクはマイペースで気分屋な性格をしています。私がしゃがんで地面の汚れをブラシで擦っていると、なぜか人の脇の下をトンネルのようにくぐり(絶対に後ろを歩いたほうが広い)、なぜかドヤ顔(に見える表情)で振り返ってきたり、掃除の仕上げとして水を切ろうとしたタイミングでこちらを向いて糞をしたり…と行動が読めないこともあります。「シーちゃん~」と声をかけながら扉に近づくと、ペタペタ歩いて近寄ってきてくれることもあります。また、シズクは大きめのアジは気に入らないのか、手差しで給餌するとポイっと捨ててしまうこともあります。しかし、たまに気分が乗るのか食べてくれることもあります。「いや食べるのか!」と心の中でツッコんでしまうこともしばしば。自由に生活しています。

 この2羽には共通点があります。まずはシズク、1995年生まれ。そしてギャーコ、1993年保護。2羽とも私より年上じゃないか…。ギャーコに関しては保護された時の年齢が不明なため、実際には更に年上ということになります。
年上ということでたまには2羽のことを「さん」づけで呼んでみようと思うのでした。

渡邉 昴子

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