89号(1992年09月)3ページ
カメラが追う悲喜こもごも
こつこつなんでもないようなことを撮り続けて、ふと気がつけばカメラ歴はもう十五年近くになります。腕が上達していれば少しは自慢できるのですが、未だにカメラ任せでむやみに撮った枚数だけが増えました。
レンズの方向は、どうしても母子に傾き勝ちです。撮るほうも楽しいし、一般受けがよい為でもあります。それにほのぼのとした雰囲気はたまりません。
しかし、そうして写真を撮っていて恐いと思う時があります。芸術面を除けば、それは記録。確かな証拠としての面も強く持っているものです。
子の成長は必ずしも順調とは限らず、何らかの病状や障害を伴って大きくなることがあります。途中で死ぬのも珍しくはありません。
それを後々のいろいろなケースと突き合わせてゆくと、飼育ミスの証拠として残ってしまう場合があります。写真の持つ厳しい現実に、しばしば身をしばられます。