70号(1989年07月)1ページ
一九八九年繁殖動物を追う
松下憲行
コガタフラミンゴが久々に産卵しました。それがどうした、なんていわないで下さい。ベニイロとチリ―に挟まれて、小さな体をより小さくして生活する中でどうにかこぎつけたのですから―。
昨年の秋頃より、一時失せていた朱色に輝く羽根のつやが復活して、これはと思わせるものがありました。聞けば、担当者が餌に一工夫を懲らしていたとのこと。そうでしょう、何もなしにつやが復活するなんて考えられません。
一ヶ月後には可愛いひなが誕生、と書く間もなく卵は壊されました。ベニイロもチリーもけっこう意地が悪く、自らの通り道でくちばしの届く範囲なら容赦なく壊しにかかります。
一抹の淡い期待も、木っ葉みじん。もしふ化すれば、今年のビックニュースになることは受け合いだっただけに返す返す残念、というより他にありません。