70号(1989年07月)6ページ
一九八九年繁殖動物を追う 松下憲行【アメリカバイソン 凄い十四頭も
アメリカバイソン舎が、またまた賑やかになりました。毎年、毎年、実によく生むので、その数を担当者に尋ねると、返ってきた答えは「十四頭だよ」
なんとまあ、凄い生みっぷりです。アメリカバイソンも今ではどこの動物園でも見られるようになり、珍しくなくなっています。しかし、これ程豪快に生み続けている母親はいないでしょう。
彼女の母親シズカだって、九頭目がうまく生めず、それが原因で死んでいます。母親の記録を遠に越したメリー、日本記録すら作っているのかもしれません。
それにしてもと思うのは、分かっていないことの多さ。アメリカバイソンの寿命、いったいどれくらいなのでしょう。出産、常識的にどのくらいの数を生めるのでしょう。
分かっているのは、アメリカが開拓されると同時に、猛烈なスピードで数を減らしたことです。一世紀を経ないで、億の単位が百の単位にまで減らしたということです。
今は厳重に保護されているとはいえ、一定の数を越すと間引きされるといいます。もう、アメリカの大平原を覆うなんてことはありません。ともあれ、アメリカバイソンをこの目で見れる幸せだけは、しっかり噛みしめましょう。