70号(1989年07月)9ページ
あらかると【類人猿の水遊び】
水が苦手な類人猿、とっていつもうだる暑さの続く夏だけは別です。この間、ゴリラの運動場にはいつでも水浴びができるようにと、プールにたっぷり水を張ります。暑さをしのぐ為、プールでの遊びの密度は当然高くなります。
水浴びの仕方は、ゴロンはオスらしく豪快にプールに飛び込んで走り抜け、水はザァーと音を立てて溢れ出ます。たまたまお客様がそれを見ていて騒いで拍手でもしようものなら、興にのって連続して水浴びをしたりします。
反対にトトはメスらしく、手とか足を水につけるだけで、周囲に軽く水をまくぐらいのおしとやかさです。
オランウータンの運動場には、プールはありません。が、午後の掃除の時にホースの水を出したままにしておくと、オスのジュンは手に持って飲んだり、ホースを振ったり、噛んだりして遊びます。
メスのベリーは人工哺育で、赤ん坊の頃から洗面所のお風呂で体を洗ってもらうことのある経験からか、体がぬれるのをそう気にしません。排水溝に通じるミゾに腕をおいてふさぎ、水がたまると体をつけ、上手に水浴びをしています。
まだまだ暑い日は続きそうで、性格が表れたり、一工夫した水浴びもしばらくは続きそうです。
(池ヶ谷正志)