139号(2001年01月)4ページ
〜あらかると〜 養護学校生のドキドキ獣舎見学
先日3月2日、藤枝養護学校の生徒さん22名が動物の勉強を兼ねて見学に来られました。事前に子供達から動物についての質問票を受け取っていたので、それらをうまく答えながら動物について良く分かってもらえる説明ができればと、こちらも頭の中でこんな感じがいいかなとイメージしながら当日を迎えました。
私は象舎とキリン舎の案内をしましたが、はじめ子供達に「いいよ、中に入って。」と象舎内に入ってもらおうとするとなぜかなかなか中に入れない子達がいました。説明を少しでも興味深く聞いてもらえたらと、実際にゾウが毎日が食べているエサなどをあらかじめ用意しておいたのに、あまり心をとらえられなかったなとちょっとがっかりでした。「何で室内に入るのをためらっていたんだろう?」後で飼育課長とも話をし、考えてみたのですが、部屋の中は何か薄暗く清掃した後とはいえ多少臭いもあっ ただろうし、ひょっとして外にいるゾウが中に入ってきてしまうのではないか?とそんなちょっとおっかない気持ちにさせてしまったのかなと振り返ってみました。
ゾウ舎に続いてキリン舎を案内しましたが、「普段普通のお客さんは入れないけれど今日は特別だよ。」と興味をそそるよう強調し、3班に分かれて中に入って、もらいました。中に急な階段があるので落ちないか心配でしたが、付き添いの先生方が慎重に抱きかかえながらとても気使い良くして下さったので、みんな安全に階段の上り下りができました。
下におりてもらいシイの葉を手渡し、じかにキリンに与えてもらいましたがこれはかなり、とっても子供達には好評のようでした。私達飼育係はいつもキリンと同じ高さで接していますので、その大きさ背の高さには慣れてしまっていますが初めてキリンの間近に行き、4m50cmの背高を自分の真上に仰ぎ見た子供達はとってはびっくりしたとともに身近でその大きさを感じることが出来て感動してくれたようでした。
キリンの舌が40cm以上伸び、自分が手に持っている枝葉を巻き取るような動きには、気持ち悪いやら驚きやら初体験で大変でしたが、キリンがうまく葉っぱを食べてくれるとみんなとても満足そうな表情でした。葉っぱをやりながらキリンを見つめている子供達の瞳にはキラリとした輝きが確かにありました。やはり生きている本物の力はすごいなと思いました。こちらが説明をどうのというよりも、間近で見る本物にはとてもかなわないなと思いました。
今回、養護学校の生徒さんを案内し、はっとしたことを述べてみましたが、これからの動物園にとって、行政の一環として環境問題を見据えながら、地域の人々に身近な感動や心の安らぎのようなものが動物達を通して少しでも与えることができるのならば、それは最高の事だと思いました。また、そういったものを動物園一丸となって目指していかなけれ ばと思いました。藤枝養護学校の皆さん、また待っていますよ〜。
(松永 亨)