でっきぶらし(News Paper)

56号の2ページへ »

レンズから見た動物達【にっくきはチンパンジー】

 写真の撮りにくい動物の話は何度となくしていますが、中には撮りたくない動物もいるものです。
 その代表が、チンパンジーです。本来ならチンパンジーは個性豊かな顔をしているので、非常にいい被写体です。が、しかし、撮るにはというより、カメラを構えるのが至難の技なのです。
 カメラを持ってオリに近づくと、チンパンジーはすかさず察知して、あらかじめ水を口に含み、私に見つからないように移動して待ち伏せるのです。
 そうとは知らず近づいて、口に含んでいる水を思いっきり吹きかけられてしまいます。しかも、一度かけられたからと安心して油断してしまう私を見透かすように、まだ半分口に残してた水を更に顔にめがけて吹きかけてくるのです。
 まあ、その憎たらしいこと。水をかけられたこともさることながら、その後のチンパンジーの勝ち誇った顔を見ると口惜しさは重なり倍加してきます。
 すごすごとその場を引き下がる時の私の捨てゼリフ。「お前なんか、撮ってやるものか!!」
(鈴木和明)

56号の2ページへ »